『良い値決め 悪い値決め ―きちんと儲けるためのプライシング戦略』
Posted on | 6月 29, 2023 | No Comments
美容室開業後の料金値上げの方法(20)
理美容サービス料金の値上げをどうやってするかについて、シリーズでお伝えしています。
先回は、『価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?』をご紹介しました。
今回は『良い値決め 悪い値決め ―きちんと儲けるためのプライシング戦略』をご紹介します。
プライシングには、固定費と変動費の費用分解の知識が必要です。
ですが、顧客心理を考えているときにいきなり、費用の分類がでてきたとしても、数字が苦手な場合は、唐突に感じるかともおもいます。
どうして費用をそもそもそ変動費と固定費にわけなくてはいけないのか?
これは、マネしたほうがいいいい考えなのか、どうか?
そもそも、わからない分析をみにつけたら、自分に役立つ情報なのか?
そう疑問に思われるとおもいます。
そこで、人の心の機微はよくわかるけれど、数値分析は苦手という方むけに、「費用構造がわかる本」をここではご紹介します。
田中靖治著
良い値決め 悪い値決め ―きちんと儲けるためのプライシング戦略
あなたが、第3章と、第4章を読めば、会計数字にもとづいた利益のでる価格づけができるようになり、自分の値決めに自信がつきます。
費用を、固定費と変動費に分ける理由は、第3章にかかれています。
まず最初に、世の中の値下げは、利益がとれるから行われているということを理解する必要があります。
つまり売り上げをみて、経営判断されているわけではないということです。
売上が減ったとしても、利益があがれば、黒字です。
どうして売り上げが減っても利益が増えるかを理解するために、費用を分解して、固定費と変動費にわけて説明してくれています。
値下げして成功した例として、昔あった100円マクドナルド・ハンバーガーが説明されています。
出てゆくお金を、固定費と変動費に分解し、マクドナルドは、どの部分の利益を削って、どの部分で勝負しようとしていたかがわかります。
また、値下げしてもいいのは、固定費と変動費のどちらの費用項目かもわかりやすく書かれています。
固定費と変動費が理解でき、値下げしてもいい費用項目がわかれば、美容業での費用と、他の業種の費用の違いもわかります。
第4章では、わたしたちの美容業 では、値下げがダメで、値上げしか生き残る道がないということが、説かれています。
第4章最後に書かれている、値下げ交渉で相手からいわれたときに切り返す言葉はかっこいいです。
きっとあなたも使ってみようという気持ちにさせてくれます。
第4章で、著者の田中さんは、売上からコストを引く従来型の利益を考える数式が、売上至上の考えを招いているといいます。
売上-コスト=利益
なので、その数式から離れ、代わりに、利益を確保するための式を提案しています。
1個の利益(販売単価-仕入れ単価)×販売数量=全体の利益(いわゆる粗利)
利益がどうやって生まれるかという方程式がわかれば、売上が減る恐怖から逃れられますよね。
安売りを続けることをすっぱりやめる決心がつきますよね。
新規顧客をたくさん呼ぶことだけで売上回復が可能と考える単純な戦術はもう限界です。
そこから脱出するには、費用分解の理解と、利益を生むの方程式の2つがカギです。
安売りをやめるのが怖いのに、売上を上げたいと必死な社長さんを救うカギ。
忙しいのに儲からないのをなんとかするカギ。
両方とも、この2つにあると私は考えています。
数値分析は苦手だなと思っている方にこそ、ほんとにわかりやすく、また、自分をおもいきってみつめてみようと思わせてくれる本なので、お手に取ってみていただきたいです。
『良い値決め 悪い値決め ―きちんと儲けるためのプライシング戦略』
執筆 和田美香
中小企業診断士/美容室開業コンサルタント/オンラインコース・クリエイター/みかんぐみ株式会社 代表取締役
はじめての美容室独立開業工事110番
https://salonopen.com
フリーランス美容師のためのシェアリングサロンfrange
http://frange.link
スキルを伝え収益の柱をもうひとつオンラインスクールでつくる
https://wadamika.com
<美容室開業後の料金値上げの方法>
【これまでの連載記事】
1)いつ価格を上げるか?
https://ribiyo-news.jp/?p=33208
2)顧客に提供する価値って一体なんだろう?
https://ribiyo-news.jp/?p=34007
3)美容室開業後の値上げのメリット・デメリット
https://ribiyo-news.jp/?p=34088
4)値上げによる顧客減の不安を解消する
https://ribiyo-news.jp/?p=34272
5)まず理念の浸透/値上げ前の準備 その1
https://ribiyo-news.jp/?p=34514
6)理念の次は、従業員満足度アップ/値上げ前の準備 2
https://ribiyo-news.jp/?p=34841
7)リピート対策に割引は?
https://ribiyo-news.jp/?p=35149
8)サービス提供時間を伸び縮みさせる
https://ribiyo-news.jp/?p=35295
9)おかしな「業界標準」もある
https://ribiyo-news.jp/?p=35601
10)シンプルに伝えるだけ
https://ribiyo-news.jp/?p=36100
11)料金アップは、その理由を明確に伝える
https://ribiyo-news.jp/?p=36400
12)出会いたい顧客に勇気をもって出会う
https://ribiyo-news.jp/?p=36676
13)サロンの使命とビジョンを顧客と共有する
https://ribiyo-news.jp/?p=36944
14)別ブランドを展開し、価格帯を変更
https://ribiyo-news.jp/?p=37209
15)高級ブランドを新たに創る
https://ribiyo-news.jp/?p=37410
16)『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』石原明著
https://ribiyo-news.jp/?p=37683
17)『ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか』
https://ribiyo-news.jp/?p=38006
18)『ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか』続
https://ribiyo-news.jp/?p=38353
19)『価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?』
https://ribiyo-news.jp/?p=38655
タグ: みかんぐみ, 人生100年時代の美容キャリア, 美容室開業後の料金値上げ