2024年度の理美容サロン市場、2兆1,240億円に拡大 矢野経済研究所
Posted on | 6月 26, 2025 | No Comments
株式会社矢野経済研究所は2025年6月25日、2024年度の理美容サロン市場に関する調査結果を発表した。それによると、同年度の理美容サロン市場規模は前年度比1.5%増の2兆1,240億円に達したという。
この調査は、都道府県別・施術別の市場動向、参入企業の動き、そして将来展望までを分析したものである。ユーザー調査をベースとしたリクルート社の美容センサスとは異なり、同社の調査は大手サロンを中心としたヒアリング調査を基盤としており、市場規模の算出方法に違いがあり、結果も異なる。
2024年度は、コロナ禍から完全に脱却し、理美容業界全体が通常運営に回帰した一年といえる。特に大手・有力サロンでは業績が順調に回復し、売上が伸長したケースが多い。その背景には、施術料金の改定が広く行われたことがある。料金の引き上げは来店頻度の減少を招くとの懸念もあったが、結果として多くのサロンでは大きな悪影響は見られず、顧客はおおむね改定後の価格を許容したものと考えられる。
ただし、全ての層が同様の反応を示したわけではない。低所得層や中間層では生活防衛の意識が根強く、理美容サービスへの支出に対する反応は二極化している。今後、この傾向が市場の動向に与える影響は無視できない。
注目すべき動きとして、カラー専門店の出店スピードの鈍化が挙げられる。白髪染めやおしゃれ染めを手がけるこれらの店舗は近年拡大を続けてきたが、一部の事業者では新規出店のペースが落ちている。依然として店舗数が少ないエリアでは需要が見込まれる一方で、人材確保の難しさが新規出店を遅らせる要因となっており、現場の深刻な課題となっている。
こうした状況の中、矢野経済研究所は2025年度の理美容サロン市場規模を前年比ほぼ横ばいの2兆1,260億円と予測している。内訳としては、理容サロン市場が5,953億円、美容サロン市場が1兆5,307億円で、いずれも前年比100.1%という微増となる見通しだ。
2024年度に業績回復を支えた料金改定効果は、2025年度には一巡すると見られており、それ以降は集客力や単価アップといった、各サロンの本質的な力が試される局面に入る。また、引き続き原材料費や人件費の上昇が続けば、再度の料金改定も視野に入れなければならない、としている。
2025年版 理美容サロンマーケティング総鑑
A4 431ページ
165,000円 (本体価格 150,000円)
ショートレポート(1,980円)もある。
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