美容室が理容室の4倍超|2025年上半期美容センサスで見る市場シェア
Posted on | 7月 1, 2025 | No Comments
美容センサス2025年上半期(ホットペッパービューティーアカデミー調査)によれば、理容室と美容室を合わせたヘアサロン市場全体の規模は1兆6824億円にのぼる。
内訳は、美容室が1兆3884億円、理容室が2939億円。その比率はおよそ82.5%対17.5%で、美容室が圧倒的なシェアを持つ。店舗数や就業者数など業界の基盤を見ても、美容室の存在感が際立つ。
美容室市場の男女別動向
美容室1兆3884億円の市場のうち、女性が1兆343億円(74.5%)、男性が3542億円(25.5%)を占める。女性利用者の多さは言うまでもなく、近年は男性の美容室利用も定着しつつある。特に若年層~30代男性では、美容室での施術が一般的となっており、高単価のメニューやパーソナライズ施術の浸透が背景にある。
男性の年間支出額は理容室より美容室の方が高く、美容室での男性客の市場構成比も25%を超える水準で安定している。これは「メンズ美容」の定着がもたらした構造変化といえる。
理容室市場の特徴と課題
一方、理容室市場は2939億円で、美容室に比べて規模が小さい。男女別では男性が2761億円(93.9%)、女性が178億円(6.1%)にとどまる。理容室の主な利用者は依然として男性であり、女性の利用率は低いままだ。女性の理容室利用率は全体で4.6%にとどまり、若年層(15~19歳)でやや高く8.7%だが、年齢が上がるにつれて利用は減少する傾向にある。
利用頻度では、理容室の男性客のほうが高く、平均回数は美容室より上回るケースも多い。しかしながら1回あたりの平均利用金額が理容室2751円、美容室4879円と約2倍近い差があり、この価格差が市場規模の差を生んでいる要因とされる。
理美容全体から見た男女別支出構造
理容室・美容室を合わせたヘアサロン市場1兆6824億円のうち、女性が1兆521億円(62.5%)、男性が6303億円(37.5%)を占める。男女の利用回数や利用率に大きな差はないが、女性の1回あたり利用金額が高いことが、全体市場規模の6割超を女性が占める結果につながっている。
とくに、カット以外の付加価値メニュー(カラー、トリートメント、パーマ等)を選択する傾向が女性に強く、美容室の高単価化と連動している。また、美容室ではまつ毛・眉カットなど“プラスα”のメニューが女性のみならず男性にも浸透し始めており、今後も客単価の上昇傾向が継続すると見られる。
メンズ美容の拡大と理容業の再定義
2025年上半期では、理容室の男性市場規模は前年比で1億円減少した。美容室での男性利用が増加する一方で、理容室の男性利用が微減している。大幅な縮小ではないが、縮小傾向にあることは確かだ。これは価格競争の影響と、メンズ美容を求める男性が美容室へ流れている現状を反映している。
一方で、理容室独自の強みである「顔そり(シェービング)」や「明快な料金体系」「施術時間の短さ」など、簡便性・実用性を評価する声も根強い。今後は、顔そりを中心に据えた女性向けサービスの強化や、若年層男性に向けた価格とサービスの最適化が、理容室の活路になると予測される。
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