UVダメージは「直後の修復」がカギ　ポーラ化成が新知見を発表

Posted on | 12月 2, 2025 | No Comments

ポーラ・オルビスグループで研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社は、紫外線（UV）による肌細胞のDNA損傷に関して、「直後にどれだけ修復できるか」がキズの蓄積量に大きく影響することを明らかにした。

同社は今回の研究で、①UV照射直後のDNA修復力には表皮細胞内のIGF1R（※1）が減少しないことが重要であること、②IGF1Rが減少した表皮細胞では修復が追いつかずDNA損傷が蓄積しやすくなること、③アルニカエキスにIGF1Rを増加させる作用があること――の3点を確認した。

■「直後のDNA修復」に焦点

ヒトの肌は毛が少ないためUVの影響を受けやすく、特にUVBは表皮細胞のDNAを直接傷つける。通常は細胞の持つ修復機能によって回復するが、加齢などで修復力が落ちるとダメージが蓄積し、シミやシワといった光老化（※2）につながる。

DNAのキズはUVを浴びた瞬間から発生するが、その「直後の修復力」が後の蓄積にどう影響するかは十分解明されていなかった。そこで同社は、加齢により減少し、さまざまな細胞機能に関わる因子IGF1（※3）の受容体であるIGF1Rに着目し、直後の修復との関連を調査した。

■IGF1Rが減るとキズが蓄積しやすくなる

実験の結果、IGF1Rの遺伝子発現量を減らした表皮細胞では、UV照射10〜30分後のDNA修復因子の働きが低下した。一方で60分後には正常細胞との差が見られなくなった。しかし、DNAのキズの量は増加し続け、60分後には約4.6倍に達した。

この結果から、UV照射「直後」に働く修復力こそが、後の損傷蓄積を左右するカギであることが示された。単にUVを遮断するだけでなく、肌そのものが持つ「UVディフェンス力」を高めることが重要という考え方だ。

■アルニカエキスがIGF1Rを増加

さらに同社は、植物エキスの中から表皮細胞のIGF1R発現量を高める成分を探索し、アルニカエキスにその作用があることを発見した。アルニカはヨーロッパ原産の多年草で、古くから肌を健やかに保つ植物として知られている。

ポーラ化成工業は今後も、肌のメカニズムを深く理解し、より良いスキンケアにつながる研究を続けるとしている。

※1　Insulin-like Growth Factor 1 Receptorの略。細胞表面でIGF1を受け取り、DNA修復を始めるシグナルを出す受容体。

※2　長期間紫外線を浴びることで肌の老化が加速される状態。

※3　Insulin-like Growth Factor 1の略。成長に関わる因子タンパク質の1つ。

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