おかしな「業界標準」もある
Posted on | 7月 2, 2022 | No Comments
美容室開業後の料金値上げの方法(9)
理美容サービス料金の値上げをどうやってするかについて、シリーズでお伝えしています。
先回は、「時間」とお金のお話しをしました。
時間を伸び縮みさせて見ることで、価格を実質的にあげることができます。
今回は、「業界標準」に注目します。
5-3 業界標準の無料を見える化する
あなたの業界で、「業界ではあたりまえとして顧客に提供しているけれど、作業時間費用や材料費等がかかっていて、ほんとうは有料化したい」という部分はありませんか?
例 美容業
カラーやパーマの薬液塗布のまえに、頭皮を保護するためにスプレー式のトリートメントをかならず使ってくださる美容室がありました。
でも、頭皮保護のトリートメントが、カラーやパーマの施術に含まれていることを、このお店さんではまったく顧客に知らせていませんでした。
2つの理由からです。
ひとつは、スプレー式のトリートメントで、やったかやらなかったか、わかりにくいと施術側が感じておられたため。
もうひとつは、美容室ならこの工程をいれるのは当たり前でしょ、と考えておられたため。
世の中には、頭皮が傷むから、頻繁なカラーやパーマをしたくないと考えている方も多いということをサロンオーナーさまにお伝えしました。
こちらは、改装後の価格見直しの際に、頭皮保護のトリートメントを含んだセット価格に料金改定されました。
顧客サービスと、無料サービスは違います。
顧客に価値を感じてもらえれば、無料でなくてもかまわないわけです。
無料だからと言って、言葉で伝えないままだと、そのサービスは、ほんとになんにもなかったものになってしまいます。
あなた自身が、あなたの価値をゼロにしているに等しくなります。
そんなこと、あなたの業界でもありませんか?
例 設計
日本の慣行では、設計事務所で、受注前、平面図だけでなく3Dの完成イメージ画像までの無料提案は当たり前です。
でも、こういった設計提案の部分は、単に図面作成の人件費コストだけではなく、コンサルティングを含むアイデア提案もはいっているので、設計の作業には大きな人件費がかかっています。
日本の設計事務所や工務店は、無料で書いた平面図の制作費用は、受注した方に、受注しなかった分の営業費用もすべて上乗せしています。
逆をいえば、そもそも受注前の無料提案をやめれば、総費用はもっと安くできるというわけです。
きちんと、設計と工事の分離発注をうけることにすれば、設計事務所も時間単価アップをはかりやすくなるし、お客様も無駄な費用をはらわなくていいという、両方にお得になります。
でも、多くの場合は、設計費は無料だと思って、「ちょっと提案してもらえませんか」というお客様からのお願いが、まかりとおっているのが現状です。
ちなみに、わが社では、店舗設計サービスは、契約後にしか測量や図面作成作業にはいらないようにしていますので、明朗会計と喜ばれています。
http://salonopen.com
業界標準に挑戦するときは、顧客のもっている「当たり前感覚」にも「そうかあ、おかしいんだあ」と気づいてもらうステップがあれば、「あなたのところだけ、なぜ有料、他社は無料なのに?」と理不尽ないわれかたをすることもなくなります。
顧客を育てるマーケティング活動が、大切な要素になります。
次回も、具体的な値上げの方法のつづきをお届けします。
執筆 和田美香
中小企業診断士/美容室開業コンサルタント/オンラインコース・クリエイター/みかんぐみ株式会社 代表取締役
初めての美容室独立開業工事110番
https://salonopen.com
フリーランス美容師のためのシェアリングサロンfrange
http://frange.link
スキルを伝え収益の柱をもうひとつオンラインスクールでつくる
https://wadamika.com
【連載記事】
美容室開業後の料金値上げの方法(8)
https://ribiyo-news.jp/?p=35295
美容室開業後の料金値上げの方法(7)
https://ribiyo-news.jp/?p=35149
美容室開業後の料金値上げの方法(6)
https://ribiyo-news.jp/?p=34841
美容室開業後の料金値上げの方法(5)
https://ribiyo-news.jp/?p=34514
美容室開業後の料金値上げの方法(4)
https://ribiyo-news.jp/?p=34272
美容室開業後の料金値上げの方法(3)
https://ribiyo-news.jp/?p=34088
美容室開業後の料金値上げの方法(2)
https://ribiyo-news.jp/?p=34007
美容室開業後の料金値上げの方法
https://ribiyo-news.jp/?p=33208
タグ: 人生100年時代の美容キャリア, 和田美香, 美容室経営