「カンゾウ葉エキス」が毛髪成長に関与 ミルボン中央研究所
Posted on | 3月 6, 2013 | No Comments
ミルボン中央研究所は、島根大学の松崎貴教授らのグループとの共同研究により、女性ホルモンの一種である「エストラジオール」が、血管新生を促進して毛髪の成長を促す遺伝子「VEGF-A」の発現量を調節していることを見出。さらに「VEGF-A」の発現を促進させる成分として「カンゾウ葉エキス」に高い発現促進効果があることを明らかにした。
研究成果は、日本研究皮膚科学会第37回年次学術大会で発表された。
発表タイトルは、”Estrogen induces VEGF-A expression in hair follicle dermal papilla cells.”
(エストロゲンは毛髪の毛乳頭細胞中で、VEGF-Aの発現を促進する)
発表者は、Yuuki Sakurai,Ic hitaro Niibe,Sa toshi Ogawa,Yasufumi Takeda,Ta kashi Matsuzaki
ミルボンは研究の成果を今秋発売のエイジングケア製品に応用する予定。
【研究の背景】
加齢に伴う薄毛化が原因で、ボリュームのあるヘアスタイルが作れない・分け目が広がって目立つなどの悩みを持つ女性が増加している。しかしながら、男性の薄毛化の研究に比べると、女性の薄毛化については十分な研究が行われておらず、そのメカニズムについてはあまりよくわかっていない。
その一方で、女性ホルモンの一種である「エストラジオール」は40代以降急激に減少していくため、加齢に伴う女性の薄毛化に関与しているものと考えられてきた。
そこでミルボンでは、女性の薄毛化と「エストラジオール」の関係を遺伝子レベルで、調べるために、島根大学の松崎貴教授らのグループと共同で、毛髪を作る器官である毛包由来の細胞に対する「エストラジオール」の作用を解析した。
【研究の成果】
毛乳頭細胞と外毛根鞘細胞に「エストラジオール」を添加して培養し、毛髪の成長に関連する遺伝子の発現量の変化を定量RT-PCR法を用いて調べたところ、「エストラジオール」が毛髪の成長を促進させる遺伝子「VEGF-A」の発現量に影響を与えることがわかった。
「VEGF-A」は毛包周囲への毛細血管網の発達を促進して毛髪の成長に関与するといわれており、「エストラジオール」量の減少に伴って毛包周囲への血流循環が低下し、女性の薄毛化につながることが考えられる。
これらの知見にもとづき、「VEGF-A」の発現量を高めるという新たな視点で、有効な植物エキスを網羅的に探索した結果、「甘草の葉Jのエキスに、「VEGF-A」の高い発現促進効果が見出された。
《用語解説》
VEGF・A
血管を構成する細胞の増殖を促進することで血管新生を促す遺伝子。毛包周囲への毛細血管網を発達させ、毛髪の成長促進に関与する。
毛乳頭細胞・外毛根鞘細胞
どちらも毛包を構成する細胞の一種。毛乳頭細胞は毛髪のもととなる毛母細胞の増殖や角化を調節する重要な細胞であり、その活性が毛の太さや特性に深く関与している。外毛根鞘細胞は毛髪を取り巻き物理的に支えるだけでなく、毛周期の退行期に消失してしまう毛母が成長期に再び作られる際、そのもととなる細胞である。
定量RT-PCR法
微量の遺伝子サンプルをDNAポリメラーゼとよばれる酵素を用いて増幅して検出し、発現量を定量する方法。リアルタイムRT-PCR法やQ-PCR法ともよばれる。
甘草
淡い紫色の花を咲かせるマメ科の多年草。根を乾燥させたものや、根から抽出された成分は薬や甘味料として広く用いられている。根に含まれる成分と葉に含まれる成分は全く異なっており、葉の利用はこれまでほとんどされてこなかった。
(情報/ミルボン中央研究所)
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