オウバク・チンピがPlGF産生を促進、育毛剤開発に新たな可能性

Posted on | 5月 28, 2025 | No Comments

ロート製薬株式会社（本社：大阪市、社長：杉本雅史）は、総合経営ビジョン2030「Connect for Well-being」の実現に向け、毛髪の悩みを抱える人々に科学的根拠に基づいた解決策を提供するため、研究を進めている。

このたび、同社の研究拠点であるロートリサーチビレッジ京都において、毛髪の成長に重要な役割を果たすPlGF（Placental Growth Factor：胎盤増殖因子）の産生を促進する植物エキスとして、オウバクとチンピを発見した。この研究成果を応用し、男性だけでなく女性や若年層の育毛剤の選択肢を広げる製品の開発を目指している。

PlGFは、毛包の底部にある毛乳頭細胞で生成され、毛母細胞に存在する受容体VEGFR-1に結合することで、毛母細胞の増殖を促進し、髪の成長をサポートする因子である。ロート製薬は、PlGFの可能性に早くから注目し、研究を進めてきた。

研究の結果、ヒト頭髪毛乳頭細胞にオウバクエキスまたはチンピエキスを添加すると、それぞれ約2.1倍、2.2倍のPlGFを産生することが確認された。この試験は、ヒト頭髪毛乳頭細胞を播種し、24時間後に植物エキス含有培地に置換、さらに72時間培養後に上清を回収し、上清中のPlGF産生量をELISA法にて測定する方法で行われた。

また、ロート製薬は、ビタミン類が毛包を構成する細胞に与える影響を評価し、ビタミン誘導体3種類を組み合わせた「PPT処方」が、毛乳頭細胞からのPlGF産生を促進し、PlGF/VEGFR-1経路を活性化することで、毛母細胞の増殖が促進され、毛幹伸長作用を示すことを明らかにした。この成果は、ビタミンによる育毛効果を科学的に裏付けた報告として論文に掲載されている。

本研究成果により、植物エキスであるオウバク・チンピに毛髪成長に関与するPlGF産生効果があることが示された。この技術は頭髪だけでなく睫毛などへの応用も期待されている。今後も、より多くの人々の毛髪を健やかにするための研究を続けていく方針である。

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