価格改定で失客しない!理美容室の値上げ戦略と伝え方ガイド
Posted on | 5月 31, 2025 | No Comments
諸物価が上昇する昨今、雇用スタッフがいる理美容室経営者にとって、賃上げは避けて通れない。本来は業績改善にともなう賃上げが理想ですが、そうもいっていられません。
家族経営店でも生活防衛の観点から収入増を図る必要があります。
一般の企業なら生産性の向上を図ることで増収増益をはかるのが王道ですが、1人の施術者が接客できる人数に限界がある理美容業は、生産性の伸びしろが構造的に小さい。時短やコスト削減にも限界があります。
そこで料金の改定に活路を見出さざるを得ない。しかし少しの値上げでも「近くの安い店へ行く」といった顧客離れが起きやすい傾向があるのが理美容業といえます。
価格の上昇に見合う「付加価値」や「理由」が顧客に伝わらないと、単なる値上げと捉えられてしまい、信頼を失うことにもつながり、失客に直結することになります。
顧客に、単なる値上げと捉えられるのはぜひ避けたい。「適正料金にご理解を」といったところで、「単なる値上げの口実にすぎない」と捉える客はいますし、だいいち店側の適正料金と利用者の適正料金は違うものです。
料金の値上げをするにも工夫が必要です。
理美容室の現場は、他業種以上に「お客様との信頼関係」が根底にあります。その信頼を損なわず、価格と価値のバランスを丁寧に調整していくことが、生き残るための現実的な戦略です。顧客満足度が高い理美容室ほど値上げによる失客は少ないというデータもあります。顧客満足度は「お客様との信頼関係」ともいえるかもしれません。
値上げを成功させる鍵は
・値上げの“理由”を伝える
「物価高騰」「材料費の上昇」「スタッフへの適正な賃金支払い」など、誠実な説明を添えることで理解を得やすくなります。
・付加価値の提示
使用する商材の質を高めたり、居心地のよい空間づくりなど、値上げ以上の価値を感じさせる工夫が求められます。
・単価アップにつながるメニュー開発
「トリートメント込みのセットメニュー」「短時間メニュー」など、高単価化と回転率アップを両立させる工夫。
また 一気にではなく、少しずつ値上げすることで心理的な抵抗感が軽減されます
料金を上げること自体が目的ではなく、「サービスの質を保ち、働く人の生活を守る」ための手段としての値上げを誠実に伝えることが、客との信頼向上につながります。
そこで、一つのアイデアとして「理美容室の価格改定ガイド 2025年版」を提案します
理美容室の価格改定ガイド 2025年版
~信頼を失わず、適正価格へ導くステップ~
【ステップ1】価格改定の「理由」を明確にする
顧客は“なぜ値上げするのか”を非常に気にします。以下のような正当な理由を整理しましょう。
材料費や光熱費の高騰
最低賃金・人件費の上昇
より良いサービス・衛生品質の維持
スタッフの待遇改善(離職防止、技術維持)
・ポイント:数字を交えて説明すると説得力が増す
例:「ここ1年でカラー剤の仕入れ価格が15%上昇しています」
【ステップ2】価格改定の時期と幅を慎重に決定する
値上げは年に1回までが理想(頻繁すぎると反発されやすい)
値上げ幅は5~10%が一般的(例:カット¥4,000 → ¥4,400)
段階的値上げ(2段階に分けて上げる)や一部メニューのみの改定も有効。
【ステップ3】お知らせは「誠実」に「事前に」伝える
価格改定の通知は、最低でも1か月前からスタート。
店頭掲示(レジ横・入口)
予約アプリやLINE公式アカウント
SNS投稿、ホームページ告知
担当者からの口頭案内
・テンプレ例(POPなどに使える)
【価格改定のお知らせ】
昨今の物価・原材料費の上昇を受け、2025年7月より一部メニューの価格を見直すこととなりました。より質の高い技術とサービスの提供を続けてまいりますので、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
【ステップ4】付加価値の“見える化”を徹底する
値上げ以上の価値を感じてもらうためには「変化」や「特別感」が必要です。
技術レベルや使用商材を具体的に伝える
「カット+高保湿シャンプー」などのセット化
店内の清潔感、快適性、接客クオリティを強化
「値上げだけ」で終わらせない工夫が重要。
【ステップ5】スタッフ教育と現場での言い回しを統一する
どのスタッフも同じ説明ができるように共有する
ネガティブな言い訳でなく、サービス向上の一環として伝える
<おまけ>値上げ後の「次の一手」
リピーターを増やすためのポイント付与や限定サービスの実施
スタッフ指名制度やオプションメニューによる単価アップ
価格帯別で「選ばせるメニュー」展開(例:スタンダード / プレミアム)
既存客のつなぎとめだけでなく、値上げを機に新規客を積極的に呼び込む戦略も重要
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