理美容業界がシニア世代にどう取り組むか
Posted on | 10月 19, 2016 | No Comments
65歳以上のシニア世代は3461万人に達し、日本の全人口の27%を占める。
それだけにシニア市場が注目されている。オシャレに敏感な若い世代を主なターゲットにしてきた理美容業界もシニア世代に目を向けなければならない時代になった。
一口にシニア世代といっても、シニアの中には自立が難しく人の手をかりなくては生活できないシニアがいる。彼らをパッシブシニアと呼ぶ。それ以外のシニアは自立してはいるが、活発なアクティブシニアと、そうでないノンアクティブシニアに大別できる。これがシニア層の区分けの一つである。
アクティブシニアは積極的に行動し、旅行や芸術など自分の趣味をはじめボランティア活動などに取組む。彼らはオシャレにも敏感な人が多く、理美容業界に限らず、美容系の業界が注目し、ニーズの掘り起こしを図っている。アクティブシニアは推定で1000万人ほどはいるとみられ、美容系産業にとって大きな市場になる可能性がある。
別の区分けもある。それは所得・資産による区分けで、シニア層の大半は年金暮らしだが、生活に余裕があるわけではない。ここ数年は貧困シニアが増えている反面、富裕層のシニアもいる。
シニア世代すべてが富裕層だったら、エステティックやネイルなどの美容系産業にも大きな市場として期待できる。しかし、現実は富裕層は少数で、市場としては限定的といわざるをえない。
高齢者向けのエステティックの普及をはかる業界団体もあるが、福祉制度が進んだ先進国ならともかく、日本では可能性は限定的といえる。
同様に、ライフオブクオリティ(LOQ)の観点から、メイクアップやネイルなどの化粧療法の効果の検証が進んでいる。しかし、残念ながら日本の場合は公的な助成で、これらのサービスが受けられる状況ではなく、これらのサービスを受けられるのは限られた富裕層になる。
その点、理美容業の根幹であるヘアカットは、パッシブシニア・アクティブ・ノンアクティブに限らず、また貧困・富裕に限らず、すべてのシニアにとって必須のサービスである。3400万人の市場がすでにある。
それは理美容業の大きな強みである反面、厳しい競争にある、ということでもある。
1000円カットの業態店の前を通ると、そこで順番待ちをしているシニアの人たちをみるたびにシニア層の取り込みの難しさを感じる。最近では順番待ちをしているシニア女性の姿も見かける。
3461万人のシニア世代、この世代にどう取り組むかが、法人サロン、個人サロン問わず、直近の課題といえる。
上のグラフの詳細(単位:万人、総務省、2016年9月15日現在)
年齢区分: アクティブ: ノンアクティブ: パッシブ
65~69: 378: 567: 80
70~74: 258: 387: 95
75~79: 212: 318: 118
80~84: 150.4: 225.6: 140
85~89: 82.4: 123.6: 120
90~94: 23.6: 35.4: 90
95~99: 3.2: 4.8: 34
100~ 0.4: 0.6: 14:
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