理容美容通信教育 法改正で広がる可能性 <コラム>
Posted on | 1月 11, 2010 | No Comments
厚生労働省は、「理容師養成施設指定規則及び美容師養成施設指定規則の一部を改正する省令(案)」及び「理容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準及び美容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準の一部を改正する件(案)」を平成22年4月より施行する。(既報・「理容美容 同時授業 22年4月から」)
主な改正点は、入学者が15名未満の養成施設における理容美容の同時授業、教員数の特例、また通信課程における1回の日数の下限の廃止などが盛り込まれる。
今回の改正のポイントは2点ある。
一つは、減少が続く理容科の救済である。
昼夜間の入学者数が全国で、1117人(平成21年度)しかおらず、一桁台の学生しか集まらない養成施設が大半では施設の維持運営が極めて難しい。今回の法改正は、美容科を併設している養成施設にとっては、効果的な救済策といえる。
とはいっても、根本は理容志望者を増やすことである。施設の救済は所詮、小手先の方策でしかない。理容店の経営者団体である全理連でも最重要課題に取り上げ、対処しているが、そうは簡単に実効はあがっていない。
もう一つのポイントは、通信課程の面接授業の1回の日数の下限の廃止である。
現行法(「美容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準」第3の3)で、
「面接授業の1回の日数は、5日以上とし、1日の授業時間数は、7時間以内とする」と規定されている。このため養成施設は夏休みなどに2週間ほど集中して面接授業を行っている。
通信課程で学ぶ学生は理美容サロンに勤務しながら資格取得を目指す人が多いが、集中して仕事を休むのは、本人にとってもサロンにとっても負担が大きい。
今回の改正で、下限日数が撤廃されると、例えば毎週火曜日に授業を行うなど、休日を利用して面接授業を行うことが可能になる。年間15日ほど面接授業を行えば、必須時間に達する計算だ。これなら学生・サロン双方の負担が軽減される。
通信課程は、ある意味、政府が進めているセーフティネット的な役割を果たす手立てである。高校中退者が増加するなかで、この間、厚生労働省は理容美容養成施設に対し、中卒者を受入れやすい法改正を行ってきているが、慢性的な人手不足にある理容美容業界としてもこの通信課程の制度を積極的に活用して、人材の確保を図ることが求められている。
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