理美容室とユーザーの利用タイプ
Posted on | 2月 14, 2025 | No Comments
理美容室を利用する消費者と、利用しない消費者がいます。
利用しない消費者は過去に利用したことがあっても、ここ1年間利用していない人とします。
利用しない理由はさまざまです。
セルフで済ませてしまう人、ヘアドネージュをしている人、髪・ヘアスタイルに無頓着な人、精神的な面から人との接触を避けている人、経済的な面でから利用しずらい人、などなど。こられの理由が複合して理美容室に足を運ばない消費者は意外と多い。
1年間に1回以上、理美容室を利用しているユーザーの割合を利用率とします。この利用率が業界の市場規模を左右します。
同じ美容系サロンでもネイルサロンやエステティックサロン、アイビューティサロンなどに比べると理美容室の利用率は高い。理美容室以外の美容系サロンの利用率はせいぜい10%台ですが、理美容室は85%ほどあります。この違いがそれぞれの市場規模に影響します。
理美容室のユーザーは、おしゃれに高感度なおしゃれ派と、日常生活に問題なければ良しとする身だしなみ派に大きく分けることができます。
おしゃれ派は、自分のおしゃれに対して妥協せず理美容に惜しみなく支出する人たちで、遠方の理美容室にも出向きます。他の支出を控えても、おしゃれを楽しむ人で、理美容室にとってはありがたい存在です。
20代から30代にかけての比較的若い層に多く、齢を重ねるほど減少します。おしゃれ派は女性が圧倒的に多かったのですが、近年は美容男子などと呼ばれる、おしゃれ志向の強い男性が増えています。
身だしなみ派は、おしゃれに対する多少のこだわりはあるものの、ある程度のところで妥協して済ませてしまう人たちです。おしゃれ派以外の理美容室を利用している人です。
以前は街の理美容室を利用するユーザーが大半でしたが、いまはカットやヘアカラーに特化した専門店を利用する人が増えています。おしゃれにも多少気を使いますが、支出に関する優先順位は高くない。懐具合が苦しくなると、利用する回数を減らすこともあります。
30年に及ぶデフレ経済で節約志向が高まり、カットやヘアカラーの専門店に通うユーザーは増えています。
ネイルサロンやエステティックサロン、アイビューティサロンなどの美容サロンのユーザーは、おしゃれ派で占められています。美容に高感度なおしゃれ派はサロンに通いますが、それ以外の人はセルフで済ませてしまう人が多い。これらのサロンに身だしなみ程度で通うユーザーは少ない。身だしなみ派が多数を占める理美容室と理美容室以外の美容サロンの違いは、身だしなみ派の存在にあるともいえます。
おしゃれ派の単価は高く、個々のサロンの収益は多い。利用率が低い割には大きな市場規模になっています。
おしゃれ派、身だしなみ派、また利用しない消費者は、常にゆっくりと流動しています。おしゃれ派が身だしなみ派に、その逆も。身だしなみ派が利用しない人に、その逆も。ときにはおしゃれ派がセルフになったりします。
2025年のいま、理美容室を利用しない消費者は15%、おしゃれ派は15%、身だしなみ派は70%といったことろでしょうか。
消費者をおしゃれ派、身だしなみ派、利用しない人の3に分けてみましたが、実際は時間とともに変化する蚊柱を遠くで眺めるイメージです。しかも3つのタイプの境目はぼんやりとしたグラデーション状態です。
時間の経過とともに社会は変わり、価値観、生活様式は変化します。髪に対する個々人の価値観も変わります。これらの「風」に吹かれて、蚊柱は常に動いています。
理美容室にとって理想の客はおしゃれ派なのはいうまでもありません。高料金も厭わない、おしゃれ派の顧客の多い理美容室は売上は大きく、収益も高い。ほとんどの理美容室はおしゃれ派の客を獲得するために奮闘しています。しかし競争は厳しい。
おしゃれ派に選ばれる店になるには技術、接客、店の内外装なども重要ですが、何より時代を感じ取る感性とそれを経営にいかす才覚、そしていまの時代ならSNSなどを活用した情報発信力が必要なのかもしれない。
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