女髪結は、お初の身
Posted on | 6月 30, 2022 | No Comments
前回の『理美容ラウンジ』「美容は縁も結ぶ 美容室が結婚相談所」(6月14日掲載)で、
○女髪結ひ 縁までもよく結び
という明治時代の川柳を紹介しました。
『団団新聞』明治19年7月10日からの引用です。
女髪結が盛んになった江戸時代後期の川柳にも、すでに同様の川柳があります。
○女髪結い櫛箱でお初の身
誹風柳多留一六三編の川柳です。一六三編なので天保年間に詠まれた川柳です。
お初は戦国武将・浅井長政と織田信長の妹・お市の方との間に生まれた三人姉妹の次女です。長女は豊臣秀吉の側室となった茶々(淀)で、三女は徳川秀忠の正室・お江です。お初は、婆娑羅大名の血を引く武将で、従兄弟でもある京極高次に嫁いでいます。豊臣家と徳川家が争った、大阪冬の陣、夏の陣で、お初は両家の和睦仲介に奔走したことが知られています。
この川柳は、両家の揉め事の仲介と解釈するよりは、両家の婚姻で奔走する姿をお初にたとえて詠んだ川柳のようです。
謎掛けや言葉遊びが盛んな江戸時代、櫛箱にも何かの暗喩があるのかもしれませんが、不詳です。
江戸後期には、川柳に詠まれるほど、女髪結が江戸の町で盛んに仕事をしていたのがうかがえます。
【参考記事】「理美容ラウンジ」
美容は縁も結ぶ 美容室が結婚相談所
https://ribiyo-news.jp/?p=35433
タグ: 古川柳にみる髪結, 女髪結, 髪結