髪結床は町の集会場
Posted on | 8月 14, 2022 | No Comments
髪結床を利用する客は暇な独身男が多い。前回(*)、掲載した将棋に夢中になる客もいましたが、髪結床の奥にある客待ちを集会所がわりに利用していた客もいました。
〇首数級溜まる物日の髪結床 (一五一40)
家主ら町内を仕切る人が何人か髪結床に集まって、祭礼などの段取りなどを相談することもありました。髪結床は町内の会所としての役割も果たしていました。
町内の大事な相談をすることもありましたが、たいていはどうでもいい話に終始したようで、やはり暇な御仁のたまり場だったのが髪結床でした。
〇髪結床取るに足らざる物語り (一〇五21)
〇髪結床安い相談するところ (明五信3)
〇絵を書いた障子は無駄の会所なり (安六仁4)
〇髪よりは無駄を言うのが多い也 (安六信3)
三番目の川柳は、髪結床の障子には、いろいろな絵が描かれていて、障子絵は髪結床の看板の役目を果たしていました。髪結床の大暖簾の川柳を紹介(*)しましたが、江戸の髪結床のすべてが大暖簾をかけていたわけではありません。ちなみに障子絵は提灯屋が描いていたといわれてます。
こんな川柳もあります。
〇髪結所喧嘩が済んで油虫 (明六梅3)
江戸の華といえば喧嘩と花火といわれるほど、喧嘩は多かった。喧嘩を終えた仲間が行きつけの髪結床に集まって、喧嘩の首尾を話し合っていたのかもしれません。油虫は、たむろする、のたとえです。
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髪結床の大暖簾
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イラストは、『浮世床』(式亭三馬)より
タグ: 古川柳にみる髪結, 髪結床