毛髪再生へ一歩 マウス実験で成功
Posted on | 4月 19, 2012 | No Comments
毛包の基になる幹細胞を培養して、毛髪を再生することに、日本の研究チームがマウス実験で成功した。幹細胞生物学、再生医学、免疫学を専攻している東京理科大学の辻孝教授を中心とした研究チーム。
毛包は毛を生やす器官。マウスのヒゲの毛包にある上皮性幹細胞と毛乳頭細胞の2種類の細胞を取り出し培養。この毛包の基を別のマウスの背中に移植したところ、3週間後に74%生えてきた。さらに10日後には1センチ程度まで伸びた。
周囲の筋肉や神経ともつながり、自然に近い生え方で、生え替わりも確認。マウスが死ぬまでの1年間確認できた、という。
組織や器官に成長する幹細胞は通常、胎児から採取したものでないと器官の再生が難しいとされるが、ヒゲの幹細胞からでも培養できた。
辻教授は「自分の細胞を培養して使う、新しい発毛治療の開発が期待できる」と新しい毛髪再生治療の可能性を示唆した。
今後10年程度で臨床応用を目指す、という。
17日付の英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表。
(以上、一般報道による)
毛髪の再生植毛では、米国ボズレー社が先行している。マウスではなく、ヒトの毛髪の毛包を培養して、増やしてから、脱毛部分に移植する研究を、すでに進めているが、いまのところ実用段階には至っていないようだ。
辻研究チームか、ボズレー社か、どちらの研究が先に成功するかは別にしても、近い将来、ハゲの悩みは解消されるかもしれない。
なお、辻研究室では
1.細胞間相互作用による造血幹細胞の増殖制御機構の解明
2.造血幹細胞の自己複製機構の解明
3.造微小環境における「場のシグナル」の分子機構の解明
4.異種細胞間コミュニケーションの分子機構の解明
5.免疫反応におけるT細胞の情報伝達機構の解明
6.再生による歯の形成誘導方法の開発
などをテーマに研究している。
タグ: トピックス, 毛髪再生