地下美容室の闇
Posted on | 5月 31, 2023 | No Comments
「地下美容室」は保健所に開設届を出さずに無届で営業している美容室のことです。近年、在留外国人の増加ととももに、主に同邦人に美容施術をする地下美容室が増えています。
とはいっても、その数や実態は不明です。アパートやマンションの一室で、しかも限られた同邦人らを相手にしているだけに、よほど派手なことをしない限り表に出ることはありません。
なぜ日本人の美容師でなく、美容技術の心得がある同邦人を頼るのかというと、髪質や同邦人に似合う髪型を知っているからともいいますが、やはり言葉と経済的な理由からでしょう。またイスラムの女性のように宗教上の教義から外部から遮断された空間で同邦女性から美容施術を受ける例もあります。
美容師法では、美容施術は美容所で美容師が行うことと規定しています。その前提は営業行為です。地下美容室の大半は料金、対価を受け取っていると思われますが、なかには無料のボランティアで行っている人もいます。
当初は、仕事が休みの日に限られた同邦人の髪を無料で切っていたのが、同邦人のネットワークで評判になり客が増え、料金をとるようになった。そもそも免許制度のない国が多く、知らずに日本の法律を破っている。そんな図式がうかがえます。
そして、いまでは同邦人のSNSで集客し営業している例が多い。また技術のある理美容師の募集情報も掲載されることがあり、営利目的の事業として本格的に行っている人もいるらしい。
料金をとるにようなった時点で美容師法違反になりますし、無料でも不特定の人への美容施術は違法です。しかし、彼らが指導を受けるのは極めて稀です。
美容所は環境衛生監視員の検査を受けることになっていますが、そもそも届出がなければ地下美容室の存在そのものがわかりません。環境衛生監視員の怠慢かというと、そんなことはありません。監視員は届出にもとづき、検査などを行いますが、地下美容室を捜索することは想定されてません。届出がなければお手上げなのが現状です。
先日、美容師法違反でベトナム国籍の男女が逮捕されましたが、これは特異なケースといえます。営業していた美容室は開設届出が出されていたので、地下美容室とはいえません。しかし、働いていたのが無免許の外国人なので美容師法違反になったわけです。
開設届を出さずに地下美容室としてひっそりと営業していれば、もしかしたら摘発されることはなかったかもしれません。
届出が出されているので、おそらく環境衛生監視員から何度か指導があった、と思われます。よほど悪質な場合は別にして、美容師法違反でいきなり逮捕されることは稀です。、
今回のケースで問題なのは、外国人の美容技術経験者に名義貸しが行われていたことで、警察では組織的な事案の可能性を視野に捜索しているといいます。
在留外国人による地下美容室、違法営業が相当行われいるのは確かです。しかし、実態はわかりません。闇のなかです。
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タグ: 地下美容室, 理美容ラウンジ, 環境衛生監視員