衛生行政報告例はゾンビ理美容店が多い
Posted on | 5月 28, 2023 | No Comments
理美容師数は、国勢調査と衛生行政報告例とで違うし、理美容店舗数も経済センサスと衛生行政報告例とでは違います。
理美容師数に関しては、国勢調査と衛生行政報告例とでは、調査の目的も手法も違うので、違いがあるのは想定できます。
国勢調査は理容美容の業に従業している人を集計しているのに対し、衛生行政報告例は理容師美容師として登録した人を集計しています。昭和の中ごろまではインターン制度もあり、衛生行政報告例より国勢調査のデータのほうが多かったのですが、昭和後期になると逆転します。理容師美容師として登録しても正業として働いていない人が増えたからです。また昭和の時代は無資格で就業していた人も少なからずいたのがうかがえます。いまは免許を取得しても時短労働や副業として働いている人が増えています。国勢調査ではサブ的な仕事はカウントされません。
一方、店舗数の違いは、衛生行政報告例に多くの問題があります。廃業届が正しくカウントされていません。夜逃げ同然で廃業してしまった場合は、環境衛生監視員が検査に入るまでは把握できません。その検査が数年に1回では、実際には存在しない店が数年間、存在し続けることになります。ゾンビ店舗です。
夜逃げのゾンビ店舗以上に問題なのは、親から子あるいは信頼できる従業員に店舗を譲渡したときに発生します。事業を継承する人は届出を出し、名義変更して、店をそのまま継承します。この場合、新規開設としてカウントされますが、元の経営者からは廃業届は出さないことが多い。こんな継承が二代、三代と続くと1店舗に対して複数の開設件数がカウントされることになります。
経済センサスと衛生行政報告例の店舗数の乖離の原因は、この事業継承時の届出が大きな要因といえます。
経済センサスのデータが実際の店舗数に近い、と当欄は判断しています。経済センサスの理美容店のデータは平成26年調査で、理容業10万4143店、美容業17万5488店になります。このデータをベースに衛生行政報告例の新規届出件数や美容師の雇用形態調査などを勘案して毎年のおおよその店舗数を類推しています。
日本の人口数は国勢調査をベースに、毎年の人口動態調査から推計人口を算出する手法をとっています。理容美容業界も国勢調査、経済センサスのデータをベースに毎年公表される衛生行政報告例などのデータを使い、毎年の店舗数、従業者数を推計するのが現実的でしょう。
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