誤差の範囲を超えている美容店舗数

Posted on | 12月 3, 2016 | No Comments

先月、衛生行政報告が公開され、2016年3月末現在の理美容店舗数、理美容師数が発表されました。今年も美容店舗数、美容師数が前年を上回り最高を記録しました。

経済センサス調査では、基礎調査と活動調査が2年ごとに交互に行われ、基礎調査では17万店5千店前後で、ほぼ横バイになっていることから、右肩上がりで増え続けてきた美容業界も今年は前年並みか、前年を下回るものと予測していただけに驚きました。

それにしても、衛生行政報告と経済センサスとの差は大きい。考えられる理由はいくつかって、同じにはならないのは当然なのですが、しかし24万と17万5千、6万5千の差はありすぎます。

理美容業界の基礎となるデータだけに、どちらのデータを採用するかによって、業界の見え方がまるで違う風景になってしまいます。

従業者の方は、衛生行政報告は登録された理美容師数、経済センサスは無資格者も含め従業している人が対象なので、これは数字が違っても不思議はありません。
しかし店舗数は、多少の誤差は仕方ないにしろ、6万5千の差は誤差の範囲を超えています。

衛生行政報告は登録店舗をカウントするので、1年間に登録された店舗が毎年上乗せされ、廃業届の店を削減した結果の総店舗数です。ところが、廃業届を出さずに廃業する経営者がいるため、廃業店も含まれていることが以前より指摘されています。

無届廃業があったとしても、保健所が行う臨店検査で店舗の存在は確認できるはずです。しかし、臨店検査は保健所によって実施回数が違い、数年に1回の保健所もあれば、数十年に一度といった保健所もあります。むかしはほぼ毎年実施してそうですが、近年は人手不足、予算不足からか回数が減るのは仕方ないかもしれません。

かたや経済センサスは調査員の店舗の見落としが指摘されています。確かに最近は隠れ家的なサロンもあるし、マンションの一室で営業しているような店は調査員の目に入らないでしょう。それ以外にも兼業美容店、複合施設内の美容店が正しくカウントされない可能性もありますが、これは数字的には大きくはありません。やはり調査員の見落としなのでしょう。

日本には、5年に一度の国勢調査があります。私事で恐縮なのですが、前回の国勢調査で90代の一人暮らしの老母が調査員の来るのを楽しみに待っていたのですが、来ませんでした。老境になると人とのつながり、社会とのつながりが希薄になり、調査員の来訪は楽しみの一つだったらしいのですが、とても残念がってました。
近隣でもそういう世帯があって、国勢調査と経済センサスでは調査のランクとしてはどちらが上かわかりませんが、調査員はかなりいい加減なようです。

6万5千の誤差、これだけの誤差があれば「唖然」を通り越して、「アッパレ！」というほかありません。

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