「モボ」「モガ」の生みの親
Posted on | 12月 14, 2022 | No Comments
「モボ」「モガ」はモダンボーイ、モダンガールの略で、大正時代の若者に流行った洋風ファッション、風俗として知られています。
この「モボ」「モガ」という言葉の生みの親が、新居格(にい いたる、1888-1951)さんという文筆家といわれています。実は諸説あるのですが、評論家の大宅壮一さんがそう主張して以来、この説が有力視されています。
大正から昭和にかけて活発な文筆活動を行った新居さんは、当時の風俗にも造詣が深く、実際に見た服飾や化粧などについて文章を残しています。
代表作の一つといわれる『街の哲学』(青年書房、1941年刊)で、戦時体制下の女性のファッションについて、次のように書いています。
…物資の節約からスカートが短くなった。この前の欧州の大戦(第一次世界大戦)でもそうであった。だが、スカート丈が短くなっても襞を多くしては少しも物資の節約にはならない。…
昭和13,4年ごろの女性の風俗を点描して批判したものと思われます。
当時、戦時体制下でしたが、この時期に女性の服飾、メイクの洋風化が進みました。ヘアも洋髪化しました。パーマをかけるために配給品の木炭を隠し持った女性で美容室は賑わっていました。戦時中、全ての国民がお国のために全身全霊で尽くしたわけではなく、おしゃれに懸命だった女性も少なからずいました。
新居さんは続けます。
…表面、時局にそふように見せかけて、その實、内容において時局性のない形式を容認するようなことは銃後的知性ではない…
と糾弾しています。
前述の丈を短くした女性も服地の節約よりもおしゃれのために短くしたのかもしれません。スカートにしろ木炭パーマにしろも女性のおしゃれ心は銃後的知性より強かったようです。
*『街の哲学』からの引用は、国立国会図書館デジタルコレクションより
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