X線で脱毛する女性の執念
Posted on | 11月 14, 2019 | No Comments
「ありのままで~」という歌が流行ったことがありますが、世の中には「ありのまま」に我慢できない人もいます。その一つが「ありのままの毛」です。
「ありのままの薄毛」に我慢できない男性もいますが、今回のテーマは「ありのままの毛深かさ」に我慢できない女性、つまり増毛ではなく脱毛です。
脱毛は、古来より美に対する女性のテーマです。有史以前の壁画に二枚貝で毛を抜いている絵が残っているといいます。脱毛は人類誕生以来、永遠のテーマかもしれません。21世紀のいまは遺伝子工学、ゲノム処理で体毛は解決できることがわかっていますが、人類誕生以来の脱毛に対する女性の執念はすさまじいものがあります。
そもそも二枚貝にしても木製の毛抜きや金属製の毛抜きを使うにしても、毛を抜くことは痛みがともないます。その後、剃刀や脱毛ワックス、除毛剤などが開発され、痛みからは解放されましたが、毛根そのものは残っているため、綺麗に処理してもまた生えてきます。
毛の再生を防ぐには毛根の機能を損なうことが求めれます。ニードル法、そしていまの美容ライト脱毛や医療脱毛は毛の再生を防ぐ方法として普及していますが、20世紀初頭から20世紀なかごろまで行われていたのがX線の照射による脱毛処理です。
レントゲンがX線を発見したのは1895年。そのX線が脱毛に効果があるのがわかったのは、偶然に近い出来事から。『脱毛の歴史』(Rebecca M.Herezig/レベッカ M ハージグ)によると、脳に入った弾丸をみつけるためX線を長く照射したところ、無事に弾丸を見つけ一命を取りとめたのですが、長く照射した部分の毛が抜け落ちたことから、X線の意外な効果がわかったというものです。多毛に悩む女性の朗報になり、またX線脱毛のサロンも生まれ、多くの女性が利用したそうです。
X線、放射線の一つですが、人体にとって有害です。X線脱毛によって体調を壊したり、ときには命を落とした女性もいたそうです。良心的な医師は1910年ごろにはX線脱毛から手を引いたそうですが、女性の脱毛願望は強く、第二次世界大戦後ももぐりでX線脱毛が行われていたことが、同書に書かれています。
体毛処理、顔や露出した体の部分を対象に行われていました。要は見た目のきれいさが目的です。ところが、最近の洋物ポルノを見ると陰部もきれいに処理されています。どういう効果があるのかはわかりませんが、ヒトの見た目重視はとどまるところを知りません。
『脱毛の歴史』(A History OF Hair Removal)
http://ribiyo-news.jp/?p=26975
タグ: 脱毛, 髪にまつわるエトセトラ