お金をいただいて、笑顔までいただける仕事

Posted on | 8月 31, 2019 | No Comments

新シリーズ「人生100年時代の美容キャリア」2回目は前回に続いて高原卓玄さん。今回はフリーランス美容師の働き方やそのメリットなどをお伺いしました。

ずっとマンツーマンでいられる
和田　フリーランスの時代がくるという流れを実感され、コレだとおもわれたのは、具体的にはどんなところからだったのですか？
たとえば、フリーランスになって、通帳の預金残高が増えたとか、顧客リストの数が増えたとか。

高原さん　お客さんですね。
お客さんの満足度。
99%、いやほとんど100%のお客さんから、「高原さん、この働き方合ってるよ。目がキラキラしてるし。店長のときも、雇われ代表も一生懸命やってたけど、楽しそうじゃなかった」って言われたんです。
そうなんだ、実はあの４年間、そんなに顔が恐かったなかでも、お客さんついてきてくださったんですね。自分では気づいていなかったことを、お客様から指摘され、自分でもびっくりしました。

そう、確かに、いまフリーランスで働いてて、すごく楽しいです。
だって、大好きなお客さんに、して差し上げられることを全部して、それでありがとうって言ってもらえる上に、お金までいただいて、笑顔までいただける仕事って、こんないい仕事ありますかと、僕は心から思っています。

１対１だと、親身になって、いろんなお話しおききできるし、スタイルのことはもちろんだけど、スタイル以外のことも相談にのれるし、ずっとマンツーマンでいられることが、こんなに楽しくて仕方がないというのが、今の仕事です。

いままでだと、最初の10分カットして、最後の仕上げを担当して、トータルで15分ぐらいしか関わらなかったお客様が、２時間なら２時間ずっとつきっきりで、髪の相談もしてもらえるし、100％僕が納得する方法をやらせてもらえる。

アシスタントに手伝ってもらってた頃は、シャンプーなど僕の手でたずさわれない部分もあったからは、僕としては70％の仕上がりでも、よしとしてお客様を送り出さなくてはとおもってたんです。

マンツーマンだったら、お客さんにとっての100点満点を探して、ご提供できるんですよね。
たとえば、疲れておられるから、今日は、カラーをダッシュで塗って、シャンプーをゆっくりさせてもらおうとか、話したいことがありそうだからカラーをゆっくり塗ってお話しを聞こうとか細かな時間配分までコントロールできるんです。

これで失客したら、完全に僕だけのせいですよね。
誰かのせいじゃない。

あと、フリーランスだと、時間が有効利用できるのもいいです。
それに、家族との時間がすごくふえました。

24時間体制だけど融通がきく
和田　いまご自分の理想の時間の使い方ができてるってことですか？
具体的に、１日どんな風にすごされるか教えていただいてもいいですか。

高原さん　理想に近いです。
一般的に、お勤めだと、朝おきたら通勤して、長いサロンワークのあと帰ってきたらあとは寝るだけです。

いま僕はどうしてるかっていうと、朝子供を幼稚園に送れる時は送っていったり、夕方お客様の波がとぎれるときはいちど家にかえってきて夕食を子供と一緒にとって、また夕方から夜まで仕事をしたりするなどしています。

ただひとつ、勘違いしていただきたくないのは、フリーランスになったら、働き方が時短になるかというと、僕の場合、そうではないという点ですね。
時短で働くというより、家族との時間をきっちりとり、どの美容師さんより家族といる時間は長いと思うけど、でもお客さんとの時間もしっかりとってるので、夜10時まで働いてるってことは普通です。
予約のお返事もしたりするので、24時間体制で仕事をしているといっても過言ではないぐらいです。
予約管理も、経理も全部自分しなくてはいけないしね。

家族の時間を増やす秘訣は、お前、それよくやれるよなと友人から言われますが、僕は、自分の予約表を、奥さんと共有することで、家族との時間をつくっています。
今日は、幼稚園の送りできないけど、お迎えゆくよとか２人ですぐわかるし、お弁当食べる時間あるからつくるねとか言ってもらえたり、今日、夕ご飯遅めだけど一緒にたべるからまってるね、とか調整してもらえる。

働くことと、家族の時間とをうまく自分なりに調整できるのが、フリーランスのいいところかな。
空いた時間に、経理もできるし、他店の応援とかコンサルティングもできるし、ゴールドジムで筋トレしてるときもありますしね。

土日も休むことができる
和田　リフレッシュできる時間いいですね！

高原さん　ゴールドジムはいま毎日行ってます。
筋トレだけでなく、夕方ちょっと疲れたなというときも、サウナにはいってさっぱりして気気分転換してから、また仕事したりってできるんですよ。
リセットをするしないを自分で選べるのが、いい。

また、もし土日なら、その空いた時間に子供とサッカーして遊んだりもできる。

僕は、それを自分でしたかったんですね。

それに、学校へ子供がゆくようになったら、土日に学校行事があるときも参加できる。
その分、違う日に働けばいいだけですから。
この間も、子供の運動会があって、父親の役目として場所取りとかしてましたよ。

店舗を構えるサロンオーナーや、勤め人だと、土日はなかなか休めないですから、フリーランスのいいところかなとおもいます。

和田　お子様のことを考えられたときと、お客様から「この働き方あってるよね」と声をかけてもらったときと、重なるんですね。

高原さん　そうなんですよ。運命なんです。
それまでは、僕も、朝から晩まで帰ってこずに、いまでも妻から言われますけど、ほんと母子家庭だったんですよ。
妻には感謝してます。

働く場所もフリーなフリーランス美容師
和田　フリーランスの働き方のいいところ教えていただいた次に、いろいろな場所でお仕事をされるフリーランスの働き方を実践されてるのも、珍しいかなあとおもって、このことお聞きしたいです。

高原さん　これから美容師が動くのもありだよね、とおもったきっかけは、もう美容室をこれ以上増やさなくていいんでは、とおもったところから始まってます。

美容室はいま25万件近くになってますよね。
美容室の席、どこも余ってますよね。
この余っている席を、みんなでシェアすればいいのでは、とおもったんです。

なので、自分のお客さんに対して、「お客さんの近くまで行きますよ」ってアナウンスしたんですね。
そしたら、長野のお客様が手をあげてくださって、じゃー、交通費いれて借りる場所代かんがえたら、４人集めてもらったら行きますよって、話しになったんです。

で、そこから、美容師さんの仲間にむかって、「長野のお客さんに呼ばれたんですが、駅前でカット席かしてもらえるサロンオーナーさんありませんか？」って問いかけたら、すぐ、借りてくれというお返事があって決まったんです。

長野のお客様は喜ぶし、空いてる席をかしてくれるオーナーさんも喜んでくれるし、ぼくもおいしい蕎麦を食べられるし、みんないいことばっかりじゃない、ってほんとにおもったんですね。

それがきっかけで、浦和にも呼んでもらったんです。
育った地元なんで、先輩や後輩、同輩に来てもらえることになり、いまでは月に１度、定期的に通うようになりました。

＜続く＞

【前回（第1回目）の記事】
「軽やかに美容の仕事をこなす 高原卓玄さん」
http://ribiyo-news.jp/?p=26318

フリーランス美容師　高原卓玄様
原宿・表参道、浦和、新百合ヶ丘、韓国と、複数個所を拠点に、フリーランス美容師として活躍。
美容師にとって、フリーランスという働き方は通過点ではなく、働きながら人生を楽しむことができる有り方のひとつということを広めていくのがいまの理想。
理想を実現するため、お客様のためだけに自分裁量で活躍する美容師の究極の環境づくりを探し、TheSalons創立にこぎつける。
http://takaharahair.com/
http://takugenblog.com/

インタビュアー＆ライター　和田美香
フリーランス美容師のためのシェアリングサロンfrange運営
美容のおかげで、人生を肯定でき、幸せは身近なところになると気づかせてもらった経験から、美容業応援の仕事に。美容室の広告・集客コンサルタント、美容室開業プロデューサーをするなかで、お客様のためだけに時間を使いたい美容師の環境づくりを支援することが、いまの時代にあった美容業応援の道と考え、frangeを開設し運営。
http://frange.link/
http://salonopen.com/

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