軽やかに美容の仕事をこなす 高原卓玄さん
Posted on | 7月 31, 2019 | No Comments
新連載「人生100年時代の美容キャリア」のトップバッターは、高原卓玄様。
どうして高原様にトップバッターをお願いしたかというと、都内や地方でも美容のお仕事でワーケーションを軽やかにこなし、かつ、韓国でカットや講師活動もしておられるお姿が、とてもまぶしい、むしろねたましいぐらいに自由だからです。
こんなに、やりたいことをやりきるお姿をお客様もみたら、お客様もみんなすっごくhappyな気持ちになるし、そんな循環がいいなあとおもって、インタビューを申し込みました。
高原さんは、どんなふうにここまでたどり着かれたのか、どんな風にすごされているのか、これからどうしてゆきたいとお考えか、おききしてみました。
フリーランスになるつもりはなかった
和田 いま環境の変化で、働き方に悩んでおられる美容師さんが多いなあと感じています。
フリーランス美容師さんむけのシェアリングサロンfrangeを運営しているなかで、お問い合わせいただく方のお話しうかがっていると、フリーランスに成りたくてずっと前から準備していたというよりは、急に店がなくなって、放り出されて、フリーランスを選択せざるをえないという流れにおられる方が多いなあと。
高原さん いや、実は僕もそうなんですよ。
もともと、フリーランスになるつもりはなかったんです。
原宿のお店に店長として働いていたとき、原宿店が撤退となったんです。
代官山の店に統合になるので、代官山でやってくれないかと言われたのですが、原宿のお客さんが代官山まで着いて来てくれるかどうかわからなかったし、このタイミングで退社したほうがいいなと思って、退職しますとオーナーに伝えたら、撤退はこっちの責任でもあるから原宿のお客さんは連れて行っていいよと言ってもらったんです。
このとき、初めて、ちょっとだけフリーランスになったんです。
そのときは、安い家賃のところを借りて、とにかく2年ぐらい頑張って、お金を貯めようとおもってたんですが、お客さんからも、友達からも、「ここでやり続けるのは辞めとけ」と、言われて、フリーランスを一か月で辞めたんです。
「たしかにお金が貯まるかもしれないけど、お客さんを無くすよ」からと考えなおしたためめでした。
僕たち美容師の財産ってお客さんじゃないですか。
そのお客さんを無くすなんてやばい。
それでお金を貯めてもなんの意味もない!
そうおもって。
そして、以前から出資するよと声をかけていただいてた方にお願いして、お店をだしてもらい、僕は、美容師をやりながら店長兼お店の切り盛りをさせてもらうことになったんです。
お店を切り盛りしながら、すごく現実がみえてきました。
周りをみていて、美容業界やばいなとおもったのはそのときです。
なんでこんなに人口減ってるのに、美容室増えてるんだろ、とか。
採用活動や、広告活動にすっごくお金をバンバン取られるけど、新規顧客もこないし、美容師さん達も自由に転職できな。
いろいろなんかおかしいなと。
4年間、そうやって美容室切り盛りしてたんですが、僕自身、人の管理と経営に追われるのがかなりストレスになってきたタイミングで、ずっと「正当な働き方」にしがみついていたのを辞めてしまえ、手を放してしまえ、と思えたときがあり、今度は、自分から望んでフリーランスになりました。
しなやかにマインドチェンジ
和田 そうだったんですね。
会社都合でフリーランスになるしかなかったという方が、ほんと多いですよねー。
高原さん でも、一方で、いまは、フリーランスになりたくて成るという方も,増えてき始めてますよ。
今回表参道で、TEH SALONSを立ち上げるために、いろんな美容師さんに会ったなかで感じるのは、僕たち30代40代になる世代は、頭が固いかな。昔からの美容師とはかくあるべきの価値観がしっかり残っていて、お客さんがいなきゃフリーランスに成れないとかおもっているけれど、若い人たちたとえば20代の美容師さんたちは、いや、お客さんがいま居なくてもフリーランス出来ますよ、お客がいなければ、お客を呼ぶ術を身につければいいだけ、と言える柔らかい考えをしてて、その上、お客さんを絶対呼べるというパワーとエネルギーかありますよね。
また、世の中の流れも、味方してるなって。
僕たちのときは、駅前で、「こんにちは、髪の根元が気になりませんか」とか言ってお店のチラシを配ってたけど、いまはSNSをうまく使いこなしてたりとかね。
それに、お客さんの美容とのかかわりもかわりましたね。昔から言われてますけど、お客様は、美容室についてくるのではなく、美容師についてるって状況をより後押しする流れもありますよね。
昔は、個人のお客様が、自分の気に入りの美容師さんを探しだすことができなかったけれど、SNSで自分好みの気に入りの美容師さんをみつけることができるようになったりね。
それで、僕なんですけど、5年前に、まずお金を貯めようとおもって、フリーランスになったんです。
これが、2014年のころですね。
ところが、2年ほどたって、「あれ、意外とフリーランスもいい。やってける」って思い始めたんです。
僕がまだ勤め人だった頃、フリーランスって言葉がなくて、面貸美容師って言葉しかなかったんです。勤めてた時のオーナーからも言われてたんですが、面貸美容師だけにはなるなって。
その頃の面貸美容師って、美容師の成れの果てで、墓場みたいな思われ方してたんですよね。
だから、最初、僕も、フリーランスを早く脱出しなくちゃって、おもってたんです。
でも、あれ、なんか、やってみたら実際は、フリーランスって悪くないな。
お客さんも、減らなかった。
って思い始めた。
そんなこんなしてるうちに、アメリカのSOLAサロンを知り、詳しく調べたらコレだ!というふうに鳥肌がたち、美容業界のために今後フリーランスが働きやすい環境を作る活動をしてゆこうとマインドチェンジしたのが、フリーランスになって3年目のことでした。
<続く>
*高原様へのインタビューは3回に分けてお届けします
フリーランス美容師 高原卓玄様
原宿・表参道、浦和、新百合ヶ丘、韓国と、複数個所を拠点に、フリーランス美容師として活躍。
美容師にとって、フリーランスという働き方は通過点ではなく、働きながら人生を楽しむことができる有り方のひとつということを広めていくのがいまの理想。
理想を実現するため、お客様のためだけに自分裁量で活躍する美容師の究極の環境づくりを探し、TheSalons創立にこぎつける。
http://takaharahair.com/
http://takugenblog.com/
インタビュアー&ライター 和田美香
フリーランス美容師のためのシェアリングサロンfrange運営
美容のおかげで、人生を肯定でき、幸せは身近なところになると気づかせてもらった経験から、美容業応援の仕事に。美容室の広告・集客コンサルタント、美容室開業プロデューサーをするなかで、お客様のためだけに時間を使いたい美容師の環境づくりを支援することが、いまの時代にあった美容業応援の道と考え、frangeを開設し運営。
http://frange.link/
http://salonopen.com/
タグ: フリーランス美容師, 人生100年時代の美容キャリア, 高原卓玄