理美容教育制度の見直しへ向けた方向性を提示 厚労省「理容師・美容師専門委員会」が中間とりまとめ案
Posted on | 4月 24, 2025 | No Comments
厚生労働省は2025年4月24日、第5回厚生科学審議会生活衛生適正化分科会理容師・美容師専門委員会を開き、これまでの議論を踏まえ、生活衛生課が作成した「中間とりまとめ」案を了承した。制度の具体的な変更はなく、今後の方向性を示した内容となっている。
同委員会は、令和6年6月に開催された国家戦略特別区域諮問会議における制度改革の指摘や、平成29年の制度改正(ダブルライセンスなど)から一定期間経過したことを背景に設置。従来の局長の私的諮問機関の位置づけだった検討会や委員会とは違い、格上の厚生科学審議会生活衛生適正化分科会の下に設置され、時代に即した理容師及び美容師の養成制度のあり方ついて、重点的に検討した。
中間とりまとめ案は、これまでの4回の議論やヒアリングをふまえ作成。制度見直しの方向性を提示するとともに、今後も継続して議論すべき課題について整理した。教育制度にとどまらず、理容業・美容業が直面する社会的課題も対象とすることなども示された。
会議では、事務局案に対し一部委員から字句の修正を求める意見や、同時授業の特例におけるクラス定員40名を超えた場合の超過人数に関する質問が出されたものの、異論はなく、おおむね了承された。今後、微修正を経て正式な成案がまとめられ、厚生労働省のホームページに掲載される予定である。
なお、理容・美容の同時授業に関しては、定員40名を基本としながらも、教育環境に配慮することを前提に最大60名程度までを想定しているとの事務局見解が示された。ただし、具体的な上限については文部科学省との調整が必要になると見られる。
<中間とりまとめ案で示された見直しの方向性の概要>
1. 必修課目・選択課目の見直し
必修課目を基礎に、選択課目を柔軟に設定し、個性ある教育を促進。
キャリア指導やマナー教育、高齢者・障害者対応など実践的内容の充実。
2. 実習のあり方
実務実習・校外実習を積極的に活用。また一定の条件下での理美容行為が可能などを周知。
現場のニーズに即した技術や態度を養う教育の推進。
校外実習の上限見直し(「課目ごと」→「選択課目全体」、令和8年度からの実施)。
実務実習の時間上限超過を可能とする方向で検討。
3. 養成と就業後の接続強化
養成段階と就業後の育成が連携できるよう実態調査の継続。
現場での人材育成の重要性を広く周知。
4. 同時授業の特例
教員不足や少子化対応のため、同時授業の実施要件をさらに緩和。
5. 遠隔授業の制度化
ICT活用により、多様な履修スタイルを認める方向で明確化を進める。
6. 通信課程の面接授業特例
常勤従事者の就業実態を把握したうえで、履修単位減免を再評価。
再評価を行うまで、特例期限(令和8年度末)の延長を検討。
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