人口減少がもたらす理美容業界の変化と課題
Posted on | 11月 28, 2025 | No Comments
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少子高齢化により人口減少が進む日本。人口が減れば需要も減り、日本の市場は縮小せざるを得ません。
「人口減少=市場縮小はデフレ経済をもたらすのか」と問われると、必ずしも単純な関係ではないようです。消費人口が減ると同時に、生産する労働者も減少します。労働供給の減少は賃金上昇につながり、賃金が上がれば物価やサービス料金も上昇する——そう唱える経済学者もいます。
日本経済全体で見れば、その見方も一理あるかもしれません。実際、大卒の初任給は上昇傾向にあります。しかし、産業や業界ごとに見れば、人口減少による影響の度合いは異なります。

たとえば、2024年問題が注目された運輸業界、高齢者の増加で需要が拡大する福祉・介護業界、そして教育業界など、それぞれに固有の影響があります。理美容業界も例外ではありません。人口減少は理美容室の市場規模を縮小させるのは間違いないでしょう。高齢者を対象とした福祉理美容の需要は拡大する可能性がありますが、全体としては市場の縮小が避けられないと考えられます。
経済学者の言うように、需要が減少すると同時に理美容師の数も減っていけば均衡しますが、理美容業界には特有の事情があります。とくに美容の仕事は若者に人気が高く、18歳人口が減少する中でも美容専門学校への入学者数は横ばいで推移しています。最近は女子を中心に美容師人気が再び高まっています。
業界としては喜ばしい傾向ですが、もともと供給過剰の傾向がある業界です。美容料金は長年、消費者物価指数を下回る状態が続いています。雇用美容師の年収も他産業と比べて見劣りします。その一方で、美容室の開業ハードルは低く、店舗数は依然として増え続けています。
働き方改革の進展により、雇用美容師の待遇改善が進んでいるのは良いことですが、賃金上昇分を売上で補えないサロンでは、従業員の確保が難しくなっているのが現状です。
一方で、働き方改革は美容師の働き方を多様化させました。フリーランス美容師や副業・兼業美容師が増え、シェアサロンの普及もそれを後押ししています。完全予約制の環境であれば、空き時間を別の仕事や趣味、家事などに充てることも可能になりました。
人口減少は理美容業界に少なからぬ変革をもたらしつつあります。これからの業界は、縮小する市場の中で、いかに新たな働き方や価値を生み出していくかが問われているといえるでしょう。
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