髪が切れればフリーランス美容師になれる時代
Posted on | 9月 30, 2019 | No Comments
「人生100年時代の美容キャリア」3回目は前回に続いて高原卓玄さん。今回はフリーランス美容師のメリット、デメリット、迷ったときの相談などについてお伺いしました。
売上ゼロでもフリーランスになれる
和田 フリーランスとして成功する秘訣は、ある程度お客様の数を最初に持っていたほうがいいですか?
高原さん 持ってた方がいいと僕はおもってたというか、僕ら世代は、おもってましたね。
でも、いまの若い世代の美容師さんに会って思うのは、お客様を最初は持ってなくてもいいということです。
デビューしたばかりで、売上ゼロのかたも、フリーランスになってますよ。
僕ら、おじさんは、サラリーマンのうちにお客さんつけてフリーランスにならないとダメじゃないのとおもってたけど、若い世代は、Youtubeやインスタを使いこなして、どんどん集客できてしまっています。
いまは、髪が切れるようになったら、もうフリーランスになっていいという時代なんです。
和田 フリーランス美容師さんも、永遠にずっと新規を大量に集客しなくちゃいけないというわけでなくて、顧客リストが300以上はそれほど増やせないということですよね。
だから、広告費をずっと多額に払う必要はないということになりますね。
高原さん フリーランスになると、月100人ほど担当したら、もう予約がとれなくなってしまいますからね。
お客様の数がこなせなくなる、これがフリーランスのデメリットですね。
フリーランスのデメリットは24時間体制かな
和田 他にフリーランスのデメリットはありますか?
高原さん 24時間仕事をすることかな。
特に、僕は、お客さんを断れないのでね。
家族との時間が増えていいと先に言ったけど、もしかして、やっぱり家族に迷惑がかかってるかもしれない。
ついつい、終業間際のお客さんを断れないんですよね。
でも、それ以外にないですね。
お客さんから「楽しそう」って言われるぐらい、お客さんにもつたわっているのがいいですね。
美容師にはフリーランスという選択肢が増えた
和田 美容学校にこれから行こうかな、美容師になりたいなという人に、フリーランス美容師の先輩からのメッセージをお願いします。
高原さん いままでは、美容師の働き方としては、勤め人になるか、自分でサロン経営するか、どちらかしかありませんでした。
でもいま、フリーランスという選択肢も増えました。
さらに、フリーランスも、僕みたいな働き方もあるし、また違ったフリーランスの働き方もあります。
そのうえ、お客さんが笑顔になれる瞬間にたずさわれる最高な仕事で、かつお金ももらえて、そのうえ、お金までいただいたうえにありがとうとまで言ってもらえるのは、美容師って最高だよとお伝えしたいです。
本当のことを言うとね、僕は、最近まで、実は自分の子供には、美容師になりたいといわれても、やめとけ、大学へ行けって言葉が出そうだったんです。
僕も、奥さんも、2人とも美容師なので、子供が美容師になりたいって言う可能性が高いじゃないですか。
でも、いまは、フリーランスとしてずっと働き続ける環境も整ってきて時代も後押ししているので、美容業界はすばらしい、やる気があれば自分のやりたいことが叶う世界だと伝えられるかなあと、思うように変わりました。
悩んだら生身のフリーランス美容師さんに相談を
和田 いま選択になやんでいる、美容師をつづけようかなあ、フリーランスになろうかなあ、今後のキャリアどうしようと言うお悩みの、という勤め人の方にメッセージをおねがいします。
転職するか、フリーランスになるか、どうするか悩んでいる人にです。
高原さん 身近な、生身のフリーランス美容師さんに相談してほしい。
ネットをみると、なんでも情報ありそうですが、でも、実態とかけはなれた記事がでまわっていることも多々あります。
なぜなら、広告でなりたっているメディアだと広告主のサロンにいいことしか書かないからです。
だから、ネットの記事だけで判断せず、生身の、身近なフリーランス美容師さんに相談してほしいです。
僕も、友人から相談をうけます。
僕のことを、包み隠さずに語ります。24時間対応のことも含めてね。
経理も集客もやりますよね。
で、フリーランスになったからって、遊ぶ時間が増えることをメリットにすることはないということを伝えます。
すると、やっぱりフリーランスは向いてないなあという人もいるんですよね。
友人にも、「お前は勤め人のほうがいい」という時もあります。
そう、勤め人であることのほうが向いている人もいます。
あと、フリーランスになるかならないかは別にして、美容業界を生き抜いて行くには、自分自身の究極の強みを持つ、そんな強みが自分にはあるんだと自信をつけてほしいなあ。
【番外編】 これから美容業界を目指したい人へ
和田 高原さんは、どうして美容師になる道を選ばれたんですか?
高原さん いやー、カッコいいこと言えないんですよねー。
僕、もともと高校を卒業する間際まで、ひたすらサッカーしてたんです。
おしゃれが好きとか、髪の毛をいじるのが好きとかぜんぜんほどとおくて、原宿にだってサッカージャージで行くのもぜんぜん平気なくらいファッションにも無頓着でした。
高校では強豪校といわれる学校でサッカー部のキャプテンをしていて、大学から、推薦枠の案内が来るぐらい、サッカー漬けでした。
でも、僕、母子家庭だったから、お金がかからない特待生なら行きたかったけれど、お金がかかる推薦枠だけなら、大学へは行かないと決めたんです。
とはいえ、いままでサッカーしかしてこなかったし、将来、何をしようとまよったとき、親が、専門職につきなさいといって、調理師の専門学校や、美容師の専門学校の本をもってきてくれてたんですよね。
僕は、結局、高卒ですぐ就職して、通信で美容の免許をとるんですが、でも、そうやって本をみせてくれた母の影響がおおきいです。
ラッキーなことに、実際に美容室に就職してみたら、すごく仕事が楽しかったんです。
入社した同期は、みんな美容学校卒業生だったんですが、僕ら朝早くから夜遅くまで残って練習する生活が、みんな大変だって言ってたのに、僕ひとり、楽しいなー、こんな楽なことないなーっておもってたんですね。
だってサッカーの朝錬と比べたら朝はゆっくりだし、ちょっと失敗しても、走らされることはないしね。(笑)
髪の毛を掃いて掃除することだけでも、こんなのが仕事でいいのかなとおもうぐらい、楽しかったですね。
練習すれば、練習しただけ、上手くなれますしね。
僕はプロサッカー選手にはなれなかったけど、高校までサッカーやっててよかったなとおもいます。
がむしゃらになれるってことが、仕事で役にたってるなあとおもっています。
<高原さんへのインタビューは今回で終りです>
【高原さんへのインタビュー1回目】
「軽やかに美容の仕事をこなす 高原卓玄さん」
http://ribiyo-news.jp/?p=26318
【高原さんへのインタビュー2回目】
お金をいただいて、笑顔までいただける仕事
http://ribiyo-news.jp/?p=26513
フリーランス美容師 高原卓玄 様
原宿・表参道、浦和、新百合ヶ丘、韓国と、複数個所を拠点に、フリーランス美容師として活躍。
美容師にとって、フリーランスという働き方は通過点ではなく、働きながら人生を楽しむことができる有り方のひとつということを広めていくのがいまの理想。
理想を実現するため、お客様のためだけに自分裁量で活躍する美容師の究極の環境づくりを探し、TheSalons創立にこぎつける。
http://takaharahair.com/
http://takugenblog.com/
インタビュアー 和田美香
フリーランス美容師のためのシェアリングサロンfrange運営
美容のおかげで、人生を肯定でき、幸せは身近なところになると気づかせてもらった経験から、美容業応援の仕事に。美容室の広告・集客コンサルタント、美容室開業プロデューサーをするなかで、お客様のためだけに時間を使いたい美容師の環境づくりを支援することが、いまの時代にあった美容業応援の道と考え、frangeを開設。
http://frange.link/
http://salonopen.com/
タグ: シェア美容室, フリーランス美容師, 人生100年時代の美容キャリア