マツエクが美容師の業務になった平成時代
Posted on | 3月 1, 2019 | No Comments
平成時代、理美容業界のトピックの一つにまつ毛エクステンション(マツエク)があります。1990年代に韓国で生まれ、数年後には、日本でも流行します。
マツエクは平成の時代に誕生し、日本では美容師でなければできない施術になりましたが、その背景には多発した事故があります。
平成20年に厚労省通知で美容師の業権との方針が示され、同省の「生活衛生関係営業等衛生問題検討会」で行われた検討をもとに法整備が行われ、教育環境などを整え、平成の時代に完全に美容師の業務になりました。
マツエクが検討会の俎上に上がる前年にはネイルが衛生上の問題から同検討会で検討され、ネイル関係者の中には業権を心配する人がいましたが、こちらは衛生管理ガイドラインに基づく自主規制を行うことで終わりました。
マツエクが美容師法下になり、ネイルが自主規制で終わったのには、首から上は美容師法・理容師法の範囲とする厚労省の基本姿勢があることもさることながら、検討会に参加した団体に違いがありました。
ネイルは当時すでに日本ネイリスト協会(JNA)があって、教育や資格認定を行っていました。検討会には他のネイル団体も出席しましたが、その団体の代表者もJNAの制度が日本でのネイルの標準になっていることを認めていました。
一方、マツエクの検討会では、いくつかのマツエク団体の代表者が出席して意見を陳述しましたが、その内容が団体によって違いました。議事録ではわかりませんが、言っている内容があまりに違うので、出席した委員から失笑がおこっていました。
とくに問題だったのは各団体によって教育、資格認定の制度が違うことで、中には資格を取得した人が教育して認定するといった家元制度に近い制度を行っている団体もあり、資格認定制度としては論外でした。
厚労省の検討会で、業界を代表し、しかも信頼に足る団体の有無が、最終報告に少なからぬ影響を与えたのは間違いありません。
そして、美容師がマツエクを行うようになった平成最後の30年、消費者庁に寄せられる事故や相談件数は増えてはいませんが、期待したほど減っていません。
美容サロン業とマツエクサロン業は業態が基本的に違うからです。美容学校でマツエク教育に力を入れのは大切なことですが、本もとの美容教育がおろそかになっては意味がありません。
平成の次の時代、科学の進歩にともない、美容に関する新しい技術が登場するはずです。そして情報化社会では優れた技術は一気に伝わり流行します。
社会が急速に変化する時代に、既存の法律や制度が追いついてないのが露呈したのが平成の時代といえます。
次の時代、新しい画期的な技術が誕生した際には、小異を捨て大同につく姿勢が求められます。
タグ: まつ毛エクステンション, マツエクは美容師の業務, 美容師の業権