薄毛治療などを5段階評価
Posted on | 4月 14, 2010 | No Comments
日本皮膚科学会は、男性型脱毛症に関する、治療薬や育毛成分などの対症法を5段階で評価した診療ガイドラインを初めて作成した。
性型脱毛症は国内に1260万人(1説に800万人)いると推計され、塗り薬や飲み薬などの治療薬が発売される一方で、植毛術や発毛術を行なうサロンや、さまざまな育毛剤が発売されているが、その医学的な有効性は検証されておらず、頭皮に炎症を起こしたり、効果がないのに高額な施術料金を請求されたりといった問題を起こしていた。このため、坪井良治・東京医大教授らが中心となり、国内外の論文を基に効果を検証し、治療薬や育毛成分などの対症法を5段階で評価した診療ガイドラインを作成したもの。(ガイドラインは4月17日発表される)。
5段階の評価は
A=行うよう強く勧められる
B=行うよう勧められる
C1=行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない
C2=根拠がないので勧められない
D=行わないよう勧められる
対処法の評価
フィナステリドの内服 A
ミノキシジルの外用 A
自毛植毛術 B
人工毛植毛術 D
フィナステリドはプロペシア(万有製薬)による治療、ミノキシジルはリアップ。
人工毛植毛は、以前より炎症する例が報告されており、D評価。
医薬部外品・化粧品育毛剤の評価
▽塩化カプロニウム C1
▽t-フラバノン C1
▽アデノシン C1
▽サイトプリン・ペンタデカン C1
▽ケトコナゾール C1
▽セファランチン C2
上記の成分は、市販されている毛生え薬に含まれている。
(以上、一般報道、日本皮膚科学会公開情報による)
(*・以下「理美容ニュース」注)
塩化カプロニウムは医師処方の「アロビックス」や市販品の「カロヤンガッシュ」に含まれている。なお特許はカネボウ化粧品研究所から提出されている。
t-フラバノンは「薬用毛髪活性剤サクセス」(kao)
アデノシンは「薬用アデノゲン」(資生堂)
サイトプリン・ペンタデカンは「薬用毛髪力ZZ」(ライオン)
ケトコナゾールはフケとり用シャンプーなどに配合されている。
セファランチンは円形脱毛症に対して処方される例が多い。
<コラム>
理容美容サロンでも育毛をメニューにしているサロンがあり、今回の日本皮膚科学会のガイドラインは注目したい。
ただ、ガイドラインでA評価されたプロペシアによって、すべての男性型脱毛症が完治するかというと、そんなことはない。4人に1人は劇的に生えてくるが、4人に1人は効果がない。残りの人は多少は効果がある程度という、治療経過報告がある。怪しげな毛生え薬や発毛術よりは確かに効果があるが完璧な治療法とはいえない。
しかもプロペシアはもともと前立腺の薬で、服用するとあのバイアグラの逆効果のでる人もいる。また毛が生えてきても、服用をやめると一気に抜ける。
B評価の自毛植毛にしても、細胞再生医療が完成して1本の毛から複数の毛が作れるのなら別だが、今の後頭下部の毛をハゲの部分に移植するのでは、自ずと限りはあるし、移植毛は残ったとしてもハゲが順調に進行する周囲の毛が抜け落ちる、といった不自然な状態になってしまう例もある。
理容美容サロンの育毛メニューは薬事法、医師法の制限はあるものの、可能性は十二分にある。頭皮頭髪の身近なカウンセラーとして顧客にアドバイスしてさしあげるのも、理容師美容師の大事な仕事である。
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