ビューティガレージ2025年4月期決算|理美容業界向け商材ECの成長鈍らず
Posted on | 6月 10, 2025 | No Comments
東証プライム上場の株式会社ビューティガレージは2025年6月9日、2025年4月期の決算を発表した。売上高は337億2,100万円(前期比+13.0%)で過去最高を記録した一方、営業利益は15億9,400万円(同-6.2%)、経常利益は15億8,400万円(同-7.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億1,900万円(同-6.0%)と減益となった。
同社は2019年から2024年にかけての中期経営計画期間中に、売上高ベースで美容業界の流通業者として国内最大規模に成長したとみられる。
売上拡大の原動力となったのは、主力である物販事業だ。理美容機器・化粧品・消耗品などを、ECサイト「BEAUTYGARAGE Online Shop」や全国主要都市のショールームを通じて、理美容室・エステ・ネイル・アイラッシュといったプロ向けに提供している。2025年4月期の物販事業の売上高は277億3,300万円(同+13.0%)と好調に推移した。ECサイトの機能強化、品揃えの拡充、物流拠点の整備が奏功した形だ。
一方で営業利益は1割以上減少しており、これは物流関連の投資や広告宣伝費など、成長に向けた積極的な先行投資の影響とみられる。実際、物販事業のセグメント利益は12億4,300万円(同-15.5%)と減少した。
一方、グループ子会社タフデザインプロダクトが手がける店舗設計事業は、売上高35億2,500万円(同+4.4%)、セグメント利益2億7,300万円(同+38.6%)と好調。美容室のみならず、クリニックやショップ案件など高単価案件の受注増が貢献した。
また、その他周辺ソリューション事業も急成長している。売上高は24億6,300万円(同+27.6%)、セグメント利益は3億2,600万円(同+30.0%)に拡大。開業支援、物件仲介、キャッシュレス決済支援、M&A、保険、低コスト電力などのサービスが連携することでクロスセルを実現し、同社が掲げる「開業と繁盛を総合支援する」体制が成果を上げている。
財務面では、総資産は前期比19.3%増の162億5,800万円、自己資本比率は46.9%(前年51.0%)となった。物流拠点整備などに伴い長期借入金が増加しており、財務体質は投資フェーズにあることがうかがえる。
2026年4月期の業績見通しでは、売上高380億8,000万円(同+12.9%)、営業利益18億4,100万円(同+15.5%)、経常利益18億3,000万円(同+15.5%)、当期純利益12億9,100万円(同+26.7%)と2ケタ成長を見込む。新たな物流拠点「柏フルフィルメントセンター」の本格稼働により、物流スピードと在庫管理の精度を向上させる狙いだ。
美容業界ではインボイス対応・人手不足・物価高騰など厳しい経営環境が続くが、同社は「物流とITを武器に業界を変革する存在」を標榜し、プラットフォーマーとしての地位を固めつつある。
今後はフリーランス美容師の増加やシェアサロン拡大、顧客単価の上昇といった業界構造の変化にも柔軟に対応し、ワンストップ型の経営支援をさらに強化する方針だ。
なおビューティガレージは「新中期経営計画」(2025-2029年)を発表し、「サロンコンシェルジュNo.1企業」をビジョンに掲げ、業界に寄り添った直接・間接支援を展開していく方針を明らかにしている。
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