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ヘアサイクルは進化の名残り

Posted on | 10月 14, 2019 | No Comments

logo毛髪は皮膚の付属器官の一つです。進化の過程で、生物の表皮はウロコになったり、羽毛になったりします。ヒトはケラチンでできた皮膚を中心に、体毛や汗腺などで被われています。

その皮膚は体を外部の刺激から守る役目のほか、感覚器官としての役目もあります。温度を感じたり、触覚などがあります。毛根は神経細胞で包まれ、毛に虫などがふれると感知します。

皮膚は近年の研究で、温度を感知する受容体としてイオンチャネル型受容体やGタンパク受容体の存在が確認されています。温域ごとに違った受容体が存在し、高温から低温までをカバーしています。

感知した情報は中枢神経に伝達され、脳は外気が低温なら身体を温める指令を出し、逆なら体温を下げる指令を出します。発汗は体温を下げるためにヒトに備わった仕組みで、ほ乳類ではヒトのほか馬がこのシステムを持っています。

ヒトの情報伝達には神経系、内分泌系、免疫系の3つがあり、温度や触覚は神経系による伝達です。
毛母細胞のスイッチを入れたり、切ったりするのは内分泌系による情報伝達による可能性が高いことは「進むヘアサイクルの科学的研究」で紹介しました。この内分泌系では、体内の多様な物質が情報伝達物質として作用していることがわかってきています。

毛髪を生成するにはアデノシン三リン酸(ATP)という物質が必要ですが、このATPも情報伝達物質としての役割もあることがわかってきています。毛母細胞にあるATPが立毛筋の近くにあるとされる受容体に情報を送ることでヘアサイクルが成り立っている可能性がありそうです。

ヒトの皮膚は発生学的に、脳になり、目になり、耳になり、などと神経器官、感覚器官として進化していったことがわかっています。ほ乳類の多くは季節によって体毛が一斉に抜け替わります。これは皮膚に季節を感じる機能が残っているからかもしれません。

ヒトは、季節によって一斉に体毛が抜け替わるという機能は失われてしまいましたが、季節に関係なく、ヘアサイクルとして抜け替わります。
ヘアサイクル、進化の名残りかもしれません。

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タグ: アデノシン三リン酸, ヘアサイクル, 髪にまつわるエトセトラ

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