毛髪ダメージを内部から可視化・補修へ、タカラベルモントが新技術を発表
Posted on | 6月 20, 2025 | No Comments
タカラベルモント株式会社の化粧品研究開発部は、毛髪内部に及ぶダメージの可視化と、それに対応する有効成分の探索に成功した。
今回の研究は、同社独自のイメージング技術と染色法を組み合わせて毛髪内部の状態を可視化し、実際に効果を持つトリートメント成分の特定に至った。
2024年11月に開催された「第2回日本化粧品技術者会学術大会」においてポスター発表を行っている。
現代の多様なヘアスタイル志向に伴い、多くの人々がヘアカラーや熱処理などによる毛髪内部のダメージに悩まされている。そこで同社は、FS-SR101染色という手法を用いて毛髪内部、特にコルテックス領域の損傷を可視化することに取り組んだ。健康な毛髪では緑色(FS)と赤色(SR)に染まるが、ダメージ毛ではこれらの蛍光が消失する。従来のトリートメントを用いてもこの蛍光の回復は見られず、通常のヘアケア製品ではコルテックス領域の改善に至っていないことが示唆された。
<図:毛髪切片を組成物AまたはBで直接処理した場合の染色パターン変化>
そこで研究チームは100種類を超えるトリートメント成分とその組み合わせを試験し、コルテックス領域に強く反応する組成物AおよびBを特定した。組成物Aは飽和アルキル鎖を持つカチオン性界面活性剤と尿素を含む構成で、組成物Bは不飽和アルキル鎖を持つ類似構成である。これらを毛髪切片に処理すると、組成物Bでは特に緑(FS)と赤(SR)両方の蛍光が増強された。これは、組成物Bが毛髪内部へより高い親和性を持ち、損傷部分の補修に寄与していることを示す。
さらに、カチオン性界面活性剤のアルキル鎖の長さが効果に影響することも判明した。炭素数18(C18)の鎖長において最も高い染色パターンの改善が見られ、これは成分がコルテックス領域にしっかりと吸着している証といえる。
また、この成分は毛髪を輪切りにせず、そのままの形状でも効果を発揮することがわかり、実際のヘアケア製品への応用可能性が高いと評価された。
本研究は、髪の内部構造をケアするという新たな視点からアプローチしており、今後の製剤開発に大きな指針を与える内容となっている。研究チームは今後もこの成果をもとに製品開発を進め、ダメージ毛の補修にとどまらず、より自由にヘアスタイルを楽しめる未来を支える技術として広く展開していく、という。
タグ: タカラベルモント, ダメージヘア可視化, 美容サイエンス