進むヘアサイクルの科学的研究
Posted on | 9月 13, 2019 | No Comments
動物の被毛は季節によって抜け替わります。ヒトの体毛も抜け替わりますが、季節に左右されることはありません。
地球上の生物は、太陽と月の影響を受けながら進化してきました。動物の被毛が夏前に抜け替わるのは太陽の影響を受けているからです。暖かくなる夏を控え、太陽の照る時間が長くなると冬の長い被毛が抜け落ちます。
ところがヒトは季節に関係なく、抜け変わります。毛が抜け変わることをヘアサイクルといいますが、このサイクルは部位によっても、個々の毛によってもサイクルの期間が違います。頭髪は2年から6年といわれています。1本1本の個体によっても大きな差があります。
眉毛、まつ毛、陰毛・脇毛はそれぞれサイクルの長さが違い、頭髪よりは短い。
体毛はすべて毛包底部にある毛乳頭で作られていますが、ヘアサイクルは別のシステムによって支配されているのが最近の研究でわかってきました。
毛幹を作るための細胞分裂をストップさせる因子とストップさせている因子の働きをストップさせる因子、つまりブレーキとアクセルの役割のある二つの因子によって、ヘアサイクルは構築されています。
因子は化学的な物質でその成分などは解明されていますが、因子をスタートさせるきっかけはわかっていません。
頭髪の場合は毛包内にある立毛筋近くにあることがわかっていて、ヘアサイクルで退行期から休止期になって、毛包が縮んでくると、毛乳頭の毛母細胞と因子が接近することが引き金になり、成長のスイッチが入るという説が有力です。細胞分裂を休止させる因子の働きをストップさせる因子が作用して、次期の新たなヘアサイクルがスタートする、といわれています。
毛母細胞が毛を創り出すエンジンだとしたら、ヘアサイクルはエンジンを制御するアクセルとブレーキの役目をしています。薄毛治療のAGAはエンジンを正常にする治療で、最重要なのですが、いま再生医療ではヘアサイクルに着目した研究が欧州で進んでいます。
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