理容師・美容師は「名称独占」
Posted on | 7月 24, 2018 | No Comments
いまや日本の理容業と美容業の違いはありません。理容師と美容師の仕事はほぼ同じです。一方の資格があれば、理容師、美容師は名称独占にすぎません。
昨年、リクルートライフスタイルが提案した「バーバー新時代」、いまオシャレなバーバーショップが男性客に受けています。もちろん理容師さんのバーバーショップもありますが、美容師さんが施術するバーバーショップもあります。サブカルチャー的なバーバーショップは美容師さんが営業しているケースが多い。
バーバー新時代とは、美容師によるバーバー新時代とも受け取れます。美容師さんが理容師を名乗ることはできませんが、保健所に美容所の届出でバーバーショップを開いても法的には何ら問題ありません。もちろん理容店の象徴ともいえるサインポールだって店先にだせます。
逆に理容師さんがビューティサロンを開いて技術しても問題ありません。四半世紀以上も昔から理容師が経営するユニセックスサロンはありました。店の外見上も、施術内容も美容室と同じですが、やっているのは理容師さんでした。
平成27年(2015)に「理容師の行うパーマの範囲、美容師の行うカットの範囲」を定めた昭和53年通知を廃止する通知が発出され、法的にも理容業、美容業の実態に沿うようになって、「理容師と美容師は同じ」という流れは加速しました。
あえて理容業と美容業の違いをあげれば、顔剃りができるのが理容師で、軽い程度の顔剃りができるのが美容師なのと、まつ毛エクステンションができるのが美容師で、できないのが理容師ということになります。違いはこれだけです。
顔剃りに関しては、美容師の顔剃りは基本的には可能で、ただメニュー表記や宣伝・広告などの表現に制限を受けるだけです。まつ毛エクステンションは美容師の業務範囲になりましたが、通常の美容室とは業態が違います。美容室の一角で行うには危険すぎます。
美容所届けのバーバーショップで本格的な顔剃りをするシェービングの名人がいます。理容師の資格を持つダブルライセンサーなので納得しましたが、美容所届けの店なので顔剃りメニューの表示はしていません。
平成27年には「理容所美容所の重複開設を認める」通知、さらに平成29年には理容師美容師の重複資格を取得しやすくする法律改正が行われましたが、現状では意味がありません。理容師、美容師はすでに同じだからです。
重複開設の店にはWライセンサーを揃えなければなりませんが、こんな馬鹿げたことをする経営者はいないはずです。
日本では、いまだに理容と美容の二つの業種に分かれています。これは世界では極めて珍しいことです。戦前、いや江戸時代から続く、「男性客は理容・床屋」、「女性客は美容・パーマ屋・髪結」という、髪にかかわる長い歴史があるからでしょうが、この長い歴史も幕を下ろす時がきたようです。
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タグ: 理美容ラウンジ, 規制緩和, Wライセンス