理容師美容師Wライセンスの皮肉
Posted on | 6月 4, 2018 | No Comments
今年度から始まった理容師美容師の重複取得者のための教育制度。これによって両方の資格取得が簡単になりました。とはいっても、すでに理容師・美容師の業務に大きな違いはないので、Wライセンス取得を目指す人は多くはないでしょう。
理容師美容師の違いは、理容師はまつ毛エクステンションができないこと、美容師はシェービングを独立したメニューにしてはいけないことくらいです。本格的なシェービングはできないにしろ、かなりな範囲で美容師のシェービングは可能です。理容師と美容師はほぼイコールといっていいでしょう。
これより先に理容所美容所の重複届出が認められています。これも活用する経営者は多くはないでしょう。重複届出をした理美容所はシェービングからまつ毛エクステンションまであらゆる理美容技術の施術が可能です。ですが、そこで働けるのは理容師美容師のWライセンサーだけです。
将来、Wライセンサーが急増し、Wライセンスを必要とする業態のサロンが普及すれば話は別ですが、いまのところは、スタッフ集めのハードルが高いだけです。
Wライセンスの意義として、近年なり手が少ない理容業界にとって、理容師の増加の面で期待する人もいます。Wライセンスを取得した理容師が理容組合に加入することが期待できる、とある理容組合の幹部は話していましたが、そう多くは見込めにそうにありません。
ではWライセンス取得に意義はないのか、というとそんなこはありません。Wライセンサーは理容所、美容所でも働けます。これは大きなメリットです。
とくに大手毛髪産業系のサロン、さらにはカットやヘアカラーに特化したいわゆる業態店はその施術内容やサービスは全国どのサロンも同じですが、店によって理容所、美容所で届出をしています。
理容所には当然理容師しか配置できません。美容所も同様です。大手企業サロンの人事部はスタッフの配置に苦労していましたが、Wライセンサーの技術者を雇用すれば自由に配置できます。Wライセンサーは大歓迎です。当然、給与なども厚遇されるはずです。
Wライセンスは、組合に加入している、理美容サロン業界で圧倒的多数を占める小規模零細業者より、毛髪産業企業サロンや業態店に大きなメリットがありそうです。
厚労省の「理容師・美容師の養成のあり方に関する検討会」に委員を出して新しい教育制度に協力してきた理容美容の両組合ですが、なにやら皮肉なことになりそうです。
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