外国人理美容師の就労は慎重に
Posted on | 6月 16, 2018 | No Comments
外国人理美容師の日本国内での就労が取りざたされています(*)。
外国人が日本の理美容学校に入学し、せっかく理美容師の国家資格を取得しても就労できないからです。日本での資格を与えるのなら、日本で働けるのが道理というのが外国人理美容師の就労を推進する人たちの主張です。
これは一理あるように思えます。
外国人理美容師の就労を推進する人たちは、日本の理美容業界が直面している人手不足の解消も、その理由の一つにあげています。しかし、これには「?」をつけざるを得ません。スタッフ不足に音をあげているサロン経営者の声をよく聞きのは事実です。とくに小規模なサロンではスタッフを集めるのに苦労しているようです。
個々の理美容サロンでは人手不足なのはまちがいないことなのでしょうが、業界全体をマクロ的に俯瞰すると、オーバーショップ、オーバーパースンの供給過剰状態なのが理美容業界です。(『理美容師は供給過剰』http://ribiyo-news.jp/?p=23186)
理美容サロンの生産性が向上しない根本的な原因の一つに供給過剰があります。生産性が上がらなければ、十分な給与、待遇ができない。結果、人が集まらない、という悪循環に陥っているのが、いまの理美容業界です。人手不足の解消に外国人理美容師を雇用しようというのは、どこか低賃金で従業員を雇用しようという胡散臭さが感じられてしまいます。
女髪結のむかしから、この業界は女髪結が増えれば、結い賃が安くなり、昭和初期、高料金だったパーマネントもパーマネント機が普及すれば下落し、戦後も同様、パーマ屋、理容店が増えれば価格競争が起きたのは業界の歴史が示すところです。
戦後20年代から30年代にかけて理美容業界あげて、統制料金、営業規制、さらには出店規制を政府に働きかけてきた理美容業界です。いま目先の人手不足に乗じて外国人理美容師の就労をは働きかけるのは、自らの首を絞めるのに等しい行為です。理美容業界の将来にプラスになるとは思えません。
国の衛生行政に関わる理美容の団体には慎重な対応を願いたい。
(*)『沖縄特区で外国人美容師の就労を要望』(http://ribiyo-news.jp/?p=20695 2017年6月)のほか、大阪府の特区提案での外国人美容師の就労(2017年9月)、日本商工会議所・東京商工会議所の要望(外国人の理美容師取得者への在留資格付与、2017年11月)など活発な動きがあります。
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