生活衛生指導費助成金 事業レビューでも廃止相当の判断
Posted on | 6月 12, 2010 | No Comments
生活衛生指導費助成金についての厚生労働省の省内事業仕分け行政事業レビューが6月10日、東京霞ヶ関の合同庁舎5号館で行われ(写真)、8人の仕分け人(外部有識者)のうち7人が廃止・不必要、1人が見直しが必要、と判断した。
仕分け人の判断は
事業の廃止(直ちに)3人
事業の廃止(事業の対象者に与える影響に配慮しながら一定期間経過後)2人
国が実施する必要なし(地方公共団体の判断に任せる)1人
国が実施する必要なし(その他( 地方+民間 ))1人
と7人が廃止・不必要。
他の1人は、
事業は継続するが、更なる見直しが必要
の判断だった。
前回の5月24日の行政刷新会議・ワーキンググループによる事業仕分けでは、生活衛生指導費助成金と全国生活衛生営業指導センターを主に検討したが、今回は都道府県の生活衛生営業指導センターも併せて検討された。
前回と同様、まず松岡正樹厚生労働省生活衛生指導課長が同省が作成した、レビューシート、事業概要等、改革案などの資料に基づき、事業概要と衛生水準の確保に果たす役割などを説明した。
また質疑に先立ち、先に厚生労働省が募集した国民の意見が1036件寄せられ、大半が事業の存続の必要性を訴えるものであったことが報告された。
質問は、予算に占める人件費が7割に達する、その相談員に関してのものが多かった。ある委員は栃木県を例に、月の相談件数が4件程度と、その仕事量からして年間400万円から480万円の給与の高さを指摘。また相談員には地方の衛生行政のOBが就任していることなどから、指導センターが天下り機関になっているのではと疑問を呈した。
仕分け人が下した実態把握の判断は
把握水準が妥当 2人
把握水準が不十分 6人
また
仕分け人(外部有識者)のコメントは
○全国でおそらく百万にも達しようとする事業者に対して、そもそも経営の素人でしかない相談員がいかなる役に立っているのか全く不明である。食中毒の減少など衛生面の向上に補助金あるいは都道府県センターが貢献しているというが、競争の熾烈さが衛生面の向上を事業者に強制していると見るのが妥当であろう。
○事業の目的が抽象的すぎ、政策効果が期待できない。またその効果測定の手法も客観的でない。
○都合のいい数字と観念的なことだけ。例えば、相談処理1件につき、何回の相談があり、計何時間かけたのかわからないようでは、把握しているとは言えない。「手間暇かけている」では、わからない。
○各指導員の業務の多忙度や内訳、相談内容の実態について、具体的な把握がなされていない印象。
○長い慣習で漫然と行っている制度であり、現場での啓蒙、トレーニング等殆んど表層的であって費用VS効果、費用を配分するチャネルが適切かどうかの把握はやっていないとの判断をした。
○経営指導について、どのような業種にどのようなコンサルタント業務を行ったのか明確ではない。
<解説>
相談員制度については昨年、厚生労働省生活衛生課が開いた「今後の生活衛生関係営業の振興に関する検討会」でも、出席した業界側委員からも特別相談員制度と併せて、疑問視する声が多くあがっていた。
この検討会には、理容、美容の委員も参加していたが、経営相談員には業界のことを知っているタカラベルモントの社員にやってもらいたい、といった意見が出されていたほどだ。
この検討会では予算関係など都合の悪い部分は非公開にしたが、政権が変わって情報が公開され、その実態が国民に明らかになった点は大いに評価できる今回の事業仕分けである。
公開された情報をみるかぎり、業界・組織としても、現状のまま生活衛生営業指導センターを存続させるというのでは国民の理解を得にくいだろう。仕分け人も衛生水準を確保するという制度の意義は認識しており、国民から納得されるような根本的な見直し、改善策を行政に求めながらの制度の存続運動をするのが、望まれよう。
省内事業仕分け行政事業レビューで開示された関係資料
タグ: 事業仕分け, 全国生活衛生営業指導センター, 行政刷新会議