生活衛生振興助成 いったん廃止 事業仕分けで
Posted on | 5月 25, 2010 | No Comments
5月24日の政府・行政刷新会議「事業仕分け」第2弾後半戦で取り上げられた厚生労働省から全国生活衛生営業指導センターへの生活衛生振興助成費など補助金事業について、その目的は評価されたものの、特定法人、特定業界団体への補助金支出は不適切と判断され、いったん廃止し別の仕組みを構築することになった。
事業仕分けは、ワーキングBグループが担当して、予定の時刻を大幅に遅れて午後6時から始まった。
まず、説明者の厚生労働省・松岡正樹生活衛生課長が、業界振興指針との関連や助成費支出の目的、また全国生活衛生指導センターの実態などについて説明。出席した全国生活衛生営業指導センター役員らも、業者の立場からその必要性を訴えた。
仕分け人側からは、4億円の国費を投入している助成に対する、その効果についての正確なデータを求める質問や助成支出の流れについての質問が多く出された。
衛生確保のために営業基盤を支援するという、助成費支出の目的については、仕分け委員も大筋で理解したようだが、役人の天下りの問題、特定の業界団体への助成に対する疑問、さらに助成に対する効果測定が不十分とする意見が相次いだ。
それに対する説明者側の回答も十分なものとはいえなかったようだ。
事業仕分けの結論は 「廃止」
但し書きで、「説明責任を果たしつつ、政策目標を達成する上でより効果的な仕組みにより行うべき」とされた。
【仕分け作業で配布された資料】(pdf)
【「事業仕分け」の評価結果】(行政刷新会議発表・原文のまま)
ワーキンググループB
事業番号B-43
(事業名) 生活衛生振興助成費等補助金
(法人名) (財)全国生活衛生営業指導センター
評価者のコメント(評価シートに記載されたコメント)
● 衛生水準の向上という目的自体は理解できる。しかし、天下り団体及び業界団体を通じた補助金の配布という手法が、その目的に適うものとは考えられない。一旦廃止し、行政目的の達成という観点から別の仕組みを考えるべき。
● 国費4億円を投入して特定の業界を支援するなら、それなりの成果や効果が問われる。しかし、真に必要な事業とは思えず、チェックも不十分。単なる業界対策ではないか。今一度、政策効果について検証すべきではないか。
● 目的に対する具体的な事業の必要性が理解できない。厚生労働省は、生活衛生行政を行う上で、①国として行うべきこと、②自治体において行うべきこと、③民間の自助努力で行うべきこと・・・の明確な役割分担を行う必要があるのではないか。
● 政策目的と事業内容のズレが大き過ぎる。4億円の国費投入についての成果・効果のデータ・指標が明確でない。公益法人・組合というフォーメーションを見直し、この4億円の効果を十分に実現する仕組みを再構築すべき。
● 役割は終了。
● 基本的に業界の自主的な取り組みに任せるものが、多数を占めると考える。国費を使ってやるべきものはなにか。国の役割を明確にする必要がある。
● 必要な支援なら財団を通さず、独法化する等国の管理を強めてはどうか。
WGの評価結果 廃止
(説明責任を果たしつつ、政策目標を達成する上でより効果的な仕組みにより行うべき)
廃止 5名
自治体/民間 1名
国等が実施 1名(事業規模 縮減 1名)
当該法人が実施 1名(事業規模 縮減 1名)
とりまとめコメント
評価者全員が、中小零細の方々の衛生面について、国が何かしらのサポートを行うべきであること、この事業の目的自体に関しては大きな疑問は持っていない。ただし、その仕組みや具体的に支出されている内容を見たときに、果たしてその目的が達成されているのかどうかという点についての説明が十分になかった。
当WG としても、4億円という国費の使い方に関してひとつの評価を下すに際して、その効果等がわからないまま、存続が必要だとは決して言えない。小規模な事業所は非常に努力されていることはわかるし、その衛生水準の向上に寄与したい気持ちはあるが、厚労省からは、そのために何故4億円が必要なのか、その4億円がどのような効果を果たしているかに関して、抽象的な説明はあったものの、具体的な説明は一切なかった。
施策の目的には非常に賛同するものがあり、そのために必要であれば国として税金を使ってやるべきであると考えるが、現在行われている仕組みや評価の中で、実際に行われていることが、国民皆さんに必要だといえるほど自信のある説明をいただいていないので、当WG としては、廃止とさせていただく。十分な説明と十分な効果測定を行っていただきたい。
タグ: 全国生活衛生営業指導センター, 行政刷新会議, 規制改革