日華化学、かゆみ原因物質NGFに着目した新スカルプケア
Posted on | 6月 17, 2025 | No Comments
日華化学株式会社毛髪科学研究所は、環境刺激によって誘発される頭皮のかゆみに関する新たなメカニズムを解明し、かゆみの抑制に有効な成分としてメカブ抽出物、ヒジキ抽出物、納豆抽出物の混合物に着目したと発表した。
本成果は2024年11月に開催された「第2回日本化粧品技術者会学術大会」にて発表され、特許出願も行われている。
今回の研究は、かゆみの発生に関わる神経伸長因子(NGF)に着目。NGFは表皮で発現し、神経線維を皮膚内に伸ばす役割を担っており、かゆみの感覚と密接な関係がある。紫外線や乾燥、花粉、黄砂といった環境要因がこのNGFの発現を促進し、知覚神経の侵入を許すことで「かゆみスパイラル」を引き起こすとされる。こうした背景から、日華化学はNGFの発現を抑える成分の探索に取り組んだ。
研究では、正常なヒト表皮角化細胞にメカブ・ヒジキ・納豆の抽出物を加えたうえで、各種環境刺激を与えたところ、いずれの条件下においてもNGFの発現抑制効果が確認された。また、これらの成分を配合した頭皮用エッセンスを用いた3か月間のヒト試験では、かゆみスコアの大幅な低下、頭皮水分量の上昇、角層の重層剥離率の低下といった頭皮環境の改善が認められた。さらに、その後の継続使用によって、毛髪のハリやコシの向上までもが確認されたという。
本研究は、日華化学がこれまで進めてきた毛髪・頭皮科学の延長線上にあり、1984年の毛髪科学研究所設立以来約40年にわたり続けてきた研究の成果の一環である。同研究所はこれまでにも美容師との連携や外部研究機関との共同研究により、ヘアケアやスタイリング、スカルプケア製品など多くの独自処方を生み出してきた。
今回の成果は、これまで対症療法が中心だったかゆみ対策に対し、根本原因の一つであるNGFの制御に踏み込んだ点で画期的といえる。とりわけ、かゆみが頭皮環境の悪化を引き起こし、抜け毛や髪質の低下にまでつながるという負の連鎖を断ち切る有効なアプローチの可能性がある。
今後は、発見された有効成分を配合したスカルプケア製品の開発を進め、かゆみに悩む消費者に新たな選択肢を提供していく。日華化学では、現代社会の環境変化やストレスなどによって多様化・深刻化する頭皮トラブルに対応するため、今後も科学的根拠に基づいた研究と製品開発を推進するとしている。
タグ: かゆみ, かゆみ防止, 美容サイエンス