顔のたるみに関与か 皮膚深部の線維構造「RL」に関する新知見
Posted on | 4月 5, 2025 | No Comments
ポーラ化成工業(ポーラ・オルビスグループ)は2025年4月1日、皮膚の深部に存在し、皮膚を柱のように支える役割をもつ線維構造「Retaining Ligament(以下、RL)」が、加齢による皮膚のたるみに関連している可能性を発見したと発表した。
同社は、顔のたるみ印象に関連するとされるRLに着目し、研究を進めた結果、以下の3つの知見を得た。
1・加齢に伴い、皮下組織に存在するRLが細くなり、断片化する
2・RLの構築に関与する因子「Piezo1(※)」の発現量が、加齢とともに減少する
3・ワレモコウとローヤルゼリーの複合エキスが、Piezo1の発現量を高める可能性がある
この研究成果は、2025年3月26日から29日に開催された「日本薬学会第145年会」で発表された。
※ 機械刺激に応答するメカノセンサーチャネル。RLの構成成分であるI型コラーゲンの産生促進に関わることが知られている
加齢に伴い皮下組織の深部に存在するRLが断片化する
肌は、表皮・真皮・皮下組織の3層で構成されており、肌の奥には筋肉や骨が存在します。RLは何層にも重なる組織を横断する線維状の組織で、皮膚を柱のように支える役割を果たしています。 目の周りや頬などRLが存在する部位は、加齢に伴い皮膚が重力方向に引き下がる“たるみ”が生じる部位と一致しています。このことから、RLの状態とたるみの関連性が示唆されています。しかし、RLの加齢変化については不明な点が残されていました。
今回、皮下組織の深部を含む顔の皮膚組織を用いてRL構造の加齢変化を検証したところ、加齢に伴いRL構造が細かく断片化する様子が確認されました。柱のような役割を果たしているRLが弱く脆くなりその構造が断片化することで、組織を支えきれずに下垂し、たるみ印象につながることが考えられました。
RL構成細胞のPiezo1発現量が加齢によって低下する
RL構造の加齢変化の検証結果からRL構造の断片化を防ぐことができれば、たるみ印象の改善につながると考えられます。そこで、断片化の要因として線維成分の産生に関わる因子として知られているPiezo1の加齢変化に着目しました。
年齢の異なるドナー由来のRL構成細胞を用いてPiezo1発現量を調べたところ、加齢に伴い細胞内のPiezo1発現量が低下することが分かりました。このことから、Piezo1の発現量が低下しRL成分の産生量が減少することがRL構造の断片化につながる可能性が示唆されました。
Piezo1の発現量を高めるエキスを発見
RL構造の断片化を防ぐために、RL構成細胞を用いてPiezo1の発現量を高めるエキスを探索した結果、ワレモコウとローヤルゼリーの複合エキスが有効であることを確認しました。Piezo1の発現量を高めることにより、RL成分の産生を促進し断片化を防ぐことができると考えられます。
ポーラ化成工業では、表皮や真皮だけではなく肌の深部に存在する構造にも着目し研究を進めてきました。今後も肌の全ての領域を対象にし、さまざまな肌悩みに対する解決策を提供するための研究を進めていきます。
タグ: ポーラ, 美容サイエンス