日本人と中国人で差があるまぶたの形態
Posted on | 7月 16, 2024 | No Comments
まぶたの形態は加齢とともに変化するが、日本人と中国人とでは50歳を過ぎると、中国人女性はまぶたの長さが顕著に減少する。これは目尻の上のたるみに関係していると思われる、という。
世界最大の化粧品会社ロレアルグループの日本における研究開発部門であるロレアル リサーチ&イノベーション ジャパンのエバリュエーションインテリジェンスチームによる「日本人と中国人における上まぶたの形態と年齢の影響」と題する論文が2024年6月10日、Cosmetic Science& Technology 誌のオンライン版に掲載された。
コロナ禍でマスクを着用する機会が増え、多くの消費者が目元に注目するようになりました。
まぶたの形は加齢とともに変化します。多くの女性は加齢による見た目の変化に対応してアイメイク製品やスキンケア製品を使用しています。
日本人女性の場合、まぶたのたるみに対する関心は40代後半から始まり、55歳からは目元に関する主な関心事となる傾向があります(未発表の社内消費者調査)。
一般的なアイメイクアップ製品は、目の特徴のコントラストと知覚される大きさを増加させることにより、若々しい印象を作り出すのに役立っています。
本研究では、起源を同じくする日本人女性と中国人女性の上まぶたの3次元形態を明らかにするために、正面像と90度横顔像で、長さ、高さ、曲率など11項目の上まぶたパラメータについて、形態や加齢による変化を比較しました。
本研究は、ロレアル リサーチ&イノベーションが2006年と2011年に中国、2009年に日本で実施した一連のタイポロジー(類型学)調査で得られたデータを分析したものです。
東京圏に住む日本人女性772名(15~74歳)と、上海に住む中国人女性346名(18~79歳)を対象としました。全体として、日本、中国、両グループにおける上まぶたの形態は加齢とともに変化し、40歳で顕著になり始めることがわかりました。
目頭と目尻の間の水平距離であるまぶたの長さは、どちらの民族でも50歳を過ぎると減少しますが、特に中国人女性では顕著でした。これは目尻の上のたるみに関係していると思われます。
目の傾きは、10代と20代の日本人女性と中国人女性の平均で約9度傾いており、年齢とともに水平になります。
横顔で観察すると、日本人、中国人ともに40代以降に上まぶたが目の上に突出し始め、外側の眼角を覆うようになりますが、中国人ではより顕著でした。
逆に、まぶたの奥行きは、日本人女性の方が中国人女性よりも年齢とともに大きくなっていました。日本人女性は、まぶたが引き伸ばされ、薄くなり、目のくぼみが生じやすい一方、中国人女性のまぶたは下垂が顕著でした。
日本人と中国人女性の上まぶたの形態は、40歳前後から加齢とともに変化しますが、国による違いは若い年齢層では限定的で、年齢とともに顕著になります。
ロレアルの発見は、上まぶたの部位によって加齢が及ぼす影響が現れる年齢に差があることを示唆しています。この研究結果は、消費者のニーズに合わせたアイメイクやスキンケアの開発に役立つと考えられます。
UDODAIRA, K., YOKOYAMA, E., ZHU T., WANG, Y., ZHAO, L., “Upper eyelid morphology and age-related changes in Japanese and Chinese females”, Skin Res. Technol., 2024; 30 e13604,
http://dx.doi.org/10.1111/srt.13604
タグ: 日本ロレアル, 美容サイエンス, 類型学