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死んだ角質細胞が単に堆積しているだけでない角質層

Posted on | 5月 19, 2024 | No Comments

biyo_s_logo角層(角質層)は、死んだ角化細胞の角質細胞が単に堆積しているのではなく、下から弱酸性-酸性-中性と分化し、角層pH三層構造を形成し、それぞれ重要な役割を担っているのが発見された。

理化学研究所(理研)と慶應義塾大学医学部の国際共同研究グループは、皮膚バリア機能を担う皮膚最外層の角層が、角層pH(水素イオン指数)の三層構造を形成し、角層の恒常性を維持することを発見した、と理研が2024年5月16日発表した。
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国際共同研究グループは、角層のpHおよび皮膚に生息する細菌をライブイメージング[1]する技術を開発し、生きたマウスの角層を観察。

角層は、死んだ角化細胞[2]である角質細胞が単に堆積しているのではなく、下から弱酸性-酸性-中性と分化し、角層pH三層構造を形成していた。角層上層は、環境に応じてpHが変化し、健常状態では皮膚に生息する細菌により中性になっていた。
炎症時に増殖する黄色ブドウ球菌は、角層上層と中層の境界部に侵入し、増殖していた。

また、酸性を示す角層中層は、細菌侵入を防御する働きがあることも分かった。さらにこの角層の三層構造は、角質細胞を剝離するタンパク質分解酵素を角層上層でのみ活性化させ、角層の厚みを一定に保つのに適した構造であることが判明した。角質細胞は死細胞であっても、分化し角層を維持する巧妙な仕組みを形成していた。

この研究成果は、皮膚バリア機能の低下により誘導されるアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に対する治療戦略の開発に役立つと期待できる。

なお、この研究は、科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(5月15日付)に掲載された。

研究成果の詳細は、理研ホームページ「プレスリリース」に
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1.ライブイメージング
生きた細胞内に起こる現象を可視化し、観察すること、またその技術。本研究では、蛍光タンパク質を発現する遺伝子組換えマウス生体を麻酔下において、共焦点顕微鏡で観察する手法を開発した。

2.角化細胞
表皮を形成する細胞。表皮の最内側の基底層で分裂した後、分化しながら順に有棘(ゆうきょく)層、顆粒(かりゅう)層と外側へ移動する。そして、顆粒層最外層(SG1層)で、コルネオトーシスによって死細胞(角質細胞)となる。
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タグ: 皮膚科学, 美容サイエンス, 角質層

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