皮膚のメカニズム研究にマイクロバイオプシー導入
Posted on | 1月 12, 2024 | No Comments
シミやシワなどのメカニズムを解明するのに、人体への負担が極めて小さい採取技術「マイクロバイオプシー」が開発され、生体での反応をより正確に・より的確に・経時的に繰り返し評価することが可能になった。
ポーラ化成工業(ポーラ・オルビスグループ)フロンティアリサーチセンターが2023年12月、イギリスのハル・ヨーク医科大学(Hull York Medical School)スキンリサーチセンターの研究チームと日本医科大学医学部皮膚科学教授の船坂陽子医師、それぞれと共同で肌内部の評価が可能なマイクロバイオプシー(Microbiopsy、補足資料1)を用いた試験を開始した、と発表した。
マイクロバイオプシーとは、微細な針で皮膚からごく少量の細胞を採取する手法で、従来技術より治りが早く、時間をずらして採取し肌状態の変化を追うことも可能になった。
これにより、シミやシワなどの肌トラブルについて、生体での反応をより正確に・より的確に・経時的に繰り返し評価することが可能になった、という。
・マイクロバイオプシーの権威ハル・ヨーク医科大学および医療・化粧品の両面に精通した船坂陽子医師と共同でイギリスと日本での大規模な肌評価試験を実施
ポーラ化成工業は、イギリスと日本のそれぞれで、マイクロバイオプシーを用い、化粧品成分を塗布した皮膚の変化を追う試験を実施します。これらの試験で得られる膨大なデータを用い、一連の細胞活動の変遷や個人差などを多角的に分析する考えです。
またイギリスと日本で生物学的に異なるルーツを持つ方を対象にすることで、肌トラブルを引き起こす要因について遺伝的な要因を含む個人毎の差を解明し、個々人に合わせた効果的な改善策の提案を目指します。
イギリスでは、マイクロバイオプシーの第一人者Tarl Prow教授をはじめとするハル・ヨーク医科大学スキンリサーチセンターの研究チームと、そして日本では、医療・化粧品の両面で皮膚に精通されている日本医科大学の船坂陽子医師とそれぞれタッグを組みます
【補足資料1】 マイクロバイオプシーとは
マイクロバイオプシーは、注射針よりも細い針により、皮膚からごく少量の細胞を採取する手法です(図2)。極めて低侵襲で傷が小さいため従来技術(※1)より治りが早く、時間をずらして採取し肌状態の変化を追うことも可能になりました。極小の採取面積で特定の部位だけ的確に得られることもメリットです。また、皮膚の細胞そのものが得られるので、DNAやRNA、タンパク質など多くの観点で分析することができ、より正確な皮膚内の状態・変化の把握につながります。
なお、マイクロバイオプシーの技術は、現在ハル・ヨーク医科大学のスキンリサーチセンターに所属するTarl Prow教授の主導により2013年に開発されました。
※1 パンチバイオプシー: 局所麻酔を行なった後に直径2~4 mmの円柱状の筒で皮膚をくり抜く手法。
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