縮小続く理容、伸び悩む美容──「生産関連表」が映す15年間の変化
Posted on | 4月 14, 2025 | No Comments
理美容業の市場が、静かに、しかし確実に縮小しています。
総務省が中心となり、ほぼ5年に一度作成している「生産関連表」によれば、2020年の生産額は、理容業が3,470億円、美容業が1兆6,095億円でした。これは2005年と比べ、理容業が55%減、美容業が21%減という、大きな落ち込みを示しています。
理容業の生産額は、2005年に7,665億円あったものが、2011年に6,507億円(15%減)、2015年には5,268億円(31%減)と、着実に減少。単純計算では年1%前後のペースで縮小していることになります。
一方の美容業は、2005年に2兆491億円、2011年には2兆1,186億円と増加しました。しかし2015年には1兆8,723億円にまで縮小し、2014年ごろには「2兆円の壁」を割り込んでいたと推測されます。理容業よりも後退は緩やかに見えるものの、縮小傾向は明らかです。
さらに、日本のGDPに占める理美容業の割合も低下しています。
2005年時点では理容業が0.12ポイント、美容業が0.31ポイントを占めていましたが、2020年には理容業0.04ポイント(-67%)、美容業0.20ポイント(-35%)へと減少。特に美容業は2011年に0.32%まで拡大していたことから、2005年から2012年ごろがピークだったと読み取れます。
もちろん、2020年の数値には新型コロナの影響も含まれています。しかし、それを差し引いても、GDP比での縮小は、生活支出の中で理美容業の優先順位が下がっていることを示している可能性が高い。
この「生産関連表」は、理美容業のデータについては主に「家計調査」の結果をもとに作成されています。
その家計調査(年次)から、2020年以降の動向を見ると——
・理容業(理髪料)は利用回数が減少し、消費支出も微減。
・美容業のカット代は、利用回数が増え、消費支出も増加。
・パーマネント代は利用回数が大きく減少し、消費支出も大幅減少。
これらのデータから、理容業の生産額は今後も減少傾向が続きそうです。美容業については横ばいから微増の兆しが見えています。
なお、次回の「2025年版 生産関連表」が公表されるのは、2020年版が2024年に公開されたことから、2029年ごろになると予想されます。
その時、理美容業界はどんな数字を見せるのでしょうか。
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