女性の美容室離れ 緩やかに進む
Posted on | 9月 30, 2023 | No Comments
美容室の市場をみるには、利用率、利用頻度、客単価が重要です。これに日本の人口を計算すればおおよその市場規模が把握できるし、美容室数、美容師数を計算すれば、美容室1店舗、美容師1人の売り上げがわかります。
利用率、利用頻度、客単価のうち、女性客の利用率の推移を示したのがグラフです。利用率とは1年間に1回以上美容室を利用した人の比率です。西暦は発表年で調査年はその1年前になります。
データは美容センサス調査(ホットペッパービューティーアカデミー/リクルート)をもとに作成しました。アカデミーの前身のビューティ―総研時代のものも含みます。
2011年には92.9%だった利用率が12年後の2023年には80.3%に減っています。
1年間に1回も美容室に行かない女性は7.1%から19.7%に、倍以上増えたとこになります。
この間、客単価は7345円から7293円とほぼ横ばいで推移しています。また、年間の利用回数は5.07回(2013年)だったものが、2023年には4.32回へと減っています。
日本の人口が大幅に増加していれば、利用率、利用回数の減少をカバーできますが、日本の人口はすでに減少しはじめています。これでは美容室市場は縮小することになります。実際、美容室市場は2005年ごろから縮小しています。美容業の就業者は減っていますし(国勢調査)、美容室数も減っています(経済センサス)。
美容室を年間に1回も利用しない女性が増えているのは、一つには経済的な理由があります。賃金が上昇せず可処分所得が増えていません。2023年は賃金は上昇しましたが、それ以上に物価が高騰してるようです。
もう一つの理由は、美容家電の高性能化、利便性の向上、それにともなう普及があります。家計調査をみても、パーマネント代、カット代は減少し、エステなどを含めた美容サービスへの消費支出は横ばいなのに対し、美容用品、とくに美容家電、化粧品は増えています。
長引くデフレ経済による節約志向と進化する美容用品の下地があって、女性の生活様式、価値観が変化し、美容室離れが緩やかに進んでいる、と判断できそうです。
20世紀の末、「次の21世紀は美容の時代」といってましたが、正確には「21世紀は美容用品の時代」です。
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