美容系産業は消費支出の1％産業

Posted on | 1月 30, 2022 | No Comments

家計調査（二人以上の世帯）によると、理髪料、パーマネント代、カット代、その他の理美容代の4品目を合わせた美容系支出は、消費支出全体の１％ほどで、この20年推移しています。美容系産業は消費の1％産業ともいえそうです。

図は2000年から2020年までの21年間の美容系支出の消費支出全体に占める比率の推移を示したものです。多少のバラツキがあり、図では目盛りの関係で増幅して見えますが、1％前後で推移しています。平均すれば0.98％程度になります。

1％産業の美容系産業ですが、その構成比をみると（図下）、その他の理美容代が拡大傾向にあり、理髪料とパーマネント代が縮小傾向にあるのがわかります。カット代はほぼ横ばいです。必ずしも理髪料＝理容業、パーマネント代＝美容業、とは言いきれませんが、おおよその傾向として、理容業美容業の主力品目は縮小傾向にあるのがうかがえます。

注意しなくてはいけないのは、理容店で施術したパーマネントはパーマネント代に含まれるし、その他の理美容代のなかには、ヘアカラー代や美顔術、セット代、洗髪代など理美容店のメニューが含まれるほか、エステティック代や大規模温泉施設の入浴料なども含まれます。
その他の理美容代の洗髪代は、ヘッドスパとみてさしつかえありません。ヘアカラー代とともに拡大傾向にあります。

家計調査は、理髪料、パーマネント代、カット代の1回当たり支払った料金の平均単価がわかります。
理髪料は2020年は3128円でしたが、2020年は2621円に
パーマネント代は7778円が8331円に
カット代は3175円が2999円に
それぞれ推移しています。

平均単価の下がった理髪料とカット代は、リーズナブルな料金の店を利用する消費者が増えているのがわかります。理髪料は数量（利用回数）も減っているので、支出金額は大きく減少します。カット代は利用回数が増えているので、ほぼ横ばいの状態になっています。

パーマネント代は、理髪料、カット代とは別の動きをしています。平均単価は上昇していますが、利用回数が三分の一に減っています。利用回数の減少は選択的支出品目に近づいていることをあらわしています。このまま推移すると、かつてのなでつけ料やセット代のようにその他の理美容代にポジションを変更する可能性がでてきます。ちなみに、なでつけ料（束髪など和髪）はその他の理美容からも消えてしまいました。

ところで、家計調査の二人以上の世帯はこの21年間で、世帯の構成人数が減少し、高齢世帯が増え、世帯収入そのものが減少しています。美容産業が世帯収入の1％産業だとしても、世帯収入そのものが減少しているので、美容系産業全体としても縮小しています。

また近年、単身世帯が増えています。単身世帯も20代、30代の若い世代も増加していますが、高齢者の単身世帯も増えています。二人以上の世帯に比べたら、単身世帯の影響は少ないものの今後は単身世帯の動向にも目を向ける必要がありそうです。

いづれにしても、一家の消費活動を調べる家計調査から、美容系産業は消費の1％産業であり、理美容業は緩やかに縮小しているのがわかります。
21世紀は美容と健康が注目されていますが、対人サービスの美容系産業は限定的です。大きく伸びているのは美容家電や化粧品など美容用品の分野です。

また、美容業は施設数、従業者数がこの20年間で増えています。理容を合算した理美容業界の施設数、従業者数も増えています。消費者の支出は減り、供給する側が増えれば、1施設当たり、1従業者当たりの収益は減ります。

とはいっても皆が均一に収益が減るわけではありません。なんの努力も工夫もしなければ間違いなく減りますが、個店・個人の努力と工夫、才覚次第で増収に導くことは可能です。理美容業、美容系産業とは生活に密着しているだけに、才覚がものをいう業種です。

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