他の理美容代に次代の主力サービスがある
Posted on | 2月 12, 2021 | No Comments
家計調査では690の調査品目があり、基礎的支出品目と選択的支出品目とに分けられますが、美容系の理髪料、パーマネント代、カット代、他の理美容代はいづれも選択的品目に含まれます。
一世帯あたりの全消費支出金額の変化に近い動きをするのが基礎的品目で、あまり関係なく変化するのが選択的品目で、必需品と嗜好品とも理解できます。
選択的支出品目に分類される美容系品目ですが、基礎的支出品目との距離感は品目によって違います。理髪料とカット代は基礎的支出に近く、パーマネント代と他の理美容代は遠い。
基礎的支出品目、つまり必需品に近い理髪料とカット代は消費者の利用率が高く、9割ほどの人が年に1回以上、利用しています。パーマネント代と他の理美容代の利用率は1割から2割程度の人しか利用していません。
理髪料とカット代は必需的なサービスとして利用率が高く安定しています。コロナ禍でも理美容店が4月の落ち込みを持ち直せた原動力となったのが理髪料とカット代といえます。
他の理美容代に含まれるエステティックやネイルなどは理美容店に比べると回復が遅れています。他の理美容代にはヘアカラーが含まれ、コロナ禍でセルフですませた人もいましたが、白髪染めなどは持ち直してきているようです。
基礎的支出に近い理髪料とカット代は安定している一方、すでに飽和状態に近い市場になっており、価格面での競争が起きています。カット専門店やカット&ヘアカラー専門店などのリーズナブルな料金設定のサロンを利用する消費者が増えていますし、これからも増える可能性が高い。飽和状態にある理髪料とカット代の市場はよくて現状維持、おそらく縮小していくでしょう。
パーマネント代は昭和の時代は基礎的支出に近かったのですが、徐々に選択的品目へと移行しているのは、家計調査の結果からわかります。頂点は四半世紀前に過ぎ、以降、縮小を続けています。社会の変化、価値観の変化が遠因にありますが、とくに髪の美に対する消費者の価値観が変わってきているからだと思われます。
選択的品目としての性格が強い、パーマネント代と他の理美容代は安定性には欠ける反面、成長する可能性は高い市場ともいえます。他の理美容代の中には、エステティック、ネイル、ヘアカラーなどのほかに、マツエク、ヘッドスパ、理容師の行うエステシャービングなど、理髪料、パーマネント代、カット代ではない広範囲な美容サービスが含まれます。
事実、他の理美容代は近年急速に伸長しています。他の理美容代は選択的支出、つまり嗜好性の強い、高付加価値サービスといえます。料金面でも比較的高額に設定できます。またパーマネントにしても衰退傾向にありますが、いま中心客層である70歳代以上の世帯が数年後に抜けます。そうなればいまとは違う新たなサービスに転換することも可能です。そうなれば、また違った展開が期待されそうです。
理美容店の主流である理髪料とカット代の衰退が見込まれるなか、次代の成長を担える可能性のある他の理美容サービスに取り組む必要があるのを教えてくれた家計調査でした。
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