なぜホモサピエンスだけが生き残った?
Posted on | 3月 25, 2020 | No Comments
いまから4万年ぐらいまで、地球上には3種類のヒトが生存していました。ネアンデルタール人、デニソワ人と私たちの祖先であるホモサピエンスです。
デニソワ人は西シベリアの洞窟で発掘されたヒトです。標本数が少なく全体像は不明ですが、遺伝子調査からアジア人に近いらしいのがわかっています。
3万年ぐらいまえに、ネアンデルタール人とデニソワ人は絶滅した、とされています。
なぜホモサピエンスだけが生存し続けたかは謎ですが、いくつかの推論が示されています。
その一つが、ホモサピエンスが、冒険心に富んだチャレンジャーだったから、世界各地に進出し子孫を残せた、という説があります(Robert P. er al/2018.『Nature Human Behaviour』)。
太古のことで、しかも資料が少ない分野では、可能性のありそうな、いろいろな想像が可能です。前述の説もその一例でしょう。自由に想像するのは楽しいことです。当コラムは違う想像をしています。
デニソワ人は不明ですが、ネアンデルタール人はヒトよりも一回り大きな体躯をしていて、運動能力もヒトより優れていた、とされています。体が大きければ、頭部・脳も大きく、ヒトよりも高い知能を持っていた可能性がありそうです。そんなネアンデルタール人が滅んだ理由は、優れた運動能力、頭脳が逆に災いしたではないか、というのが当コラムの仮設です。
体躯が小柄で運動能力に劣るヒトが狩りを成功させるには、集団を作って狩りをする必要があります。一人や少人数の集団では、狩りに失敗するどころか、肉食動物の餌になる可能性もあります。
ネアンデルタール人も集団を組んでいたと思われます。しかし規模が違います。ネアンデルター人の集団規模はヒトの集団より小規模だった。個々の運動能力が高いネアンデルタール人が狩りするには、それで十分だった。
大集団で狩猟をし、他の人種より多くの獲物を捕えることができ、ヒトは生息域を拡大していきます。温暖で獲物の多くいる場所はヒトの増え、飽和状態になります。縄張り争いの抗争もあったでしょう。抗争に破れた集団は、仕方なく条件の悪い寒冷地や島嶼部に進出せざるをえなかった、という推論です。
ネアンデルタール人、デニソワ人は絶滅したとされています。しかし、これも異論があります。生息域を拡大するヒトはネアンデルタール人、デニソワ人の生息域に進出し、彼らと交配します。この3種のヒトは交配をしていることが、遺伝子検査からわかっています。ネアンデルタール人、デニソワ人は絶滅したのではなく、増えたヒトに吸収されてしまった。
いまのヒトにはネアンデルタール人、デニソワ人の遺伝子が組み込まれています。場合によったら、いま発掘されていない、未知のヒトの遺伝子も受け継いでいるかもしれません。
2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの短距離走で活躍したウサイン・ボルト選手の大きな体躯、一歩の歩幅の広さをみると、もしかしたらボルト選手はネアンデルタール人の遺伝子を色濃く受け継いでいるのかかもしれない、と思ったりします。
(今回は、髪とは関係の話でした)
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