江戸時代の毛生え薬の効果は?
Posted on | 2月 14, 2019 | No Comments
トリカブトを配合した、江戸時代の毛生え薬(*)を紹介しましたが、江戸時代にはこのほかにも各種毛生え薬が考案されています。
「玄洞真人シン生散」(げんとうしんじんしんせいさん)、シンは「髪」かんむりに「眞」という字です。
成分は、
・びんろうじ(*)
・けいしん(桂心)
・かしゅう(何首烏)
・いおう(硫黄)
・かんぞう(甘草)
(*)びんろうじの漢字は、木へんに「兵」、木へんに「郎」、子、です。
『都風俗化粧伝』には配合量の記載もあり、これらを「細かにし、胡麻の油にてときて、付くべし」とあります。効果のほどは不明ですが、江戸のむかしも薄毛に悩む人は少なからずいたのがわかります。
トリカブト入り毛生え薬、今回の薬とも薬種屋でも売られていたようですが、自分で個々の材料を薬種店から購入し、調合して使う人もいました。
このほかにも家庭で簡単にできそうな薬を『都風俗化粧伝』は紹介しています。
①てがしわ(側栢葉)を粉にして胡麻の油にときて付くべし
②まくわ(甜瓜)をよくつきて汁をしぼりて付くべし
③こうもり(蝙蝠)を黒焼きにして胡麻の油にてとき、はげたるところを青松葉多く手ににぎり、すりて地を出し、その後付くべし
いづれのも薬種屋で購入できる材料です。
①側栢葉
ヒノキ科。成分には、ピネン、セスキテルペンアルコールなどの精油が含まれています。
育毛のほか髪を黒くする効果もあると記されています。
②甜瓜
ウリ科のマクワウリのこと。この葉を用います。窒素が含まれているといいます。
③蝙蝠
黒焼きにした蝙蝠をヘンプクソウといい、毛生え薬のほか、咳止め、瘰癧(るいれき、頸部の慢性的な腫れ物)などに効果あるとされています。
松葉でハゲをこすって、というのは根性が入ってます。軽々しくお試しにするなかれ、です。
(*)江戸時代にあった、劇薬入りの育毛剤
http://ribiyo-news.jp/?p=24424
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