最大の競争相手は自家処理
Posted on | 12月 15, 2018 | No Comments
平成時代、理美容業も大きく変わりましたが、同じ生活衛生業として隣接する業種であるクリーニング業、浴場業も変わりました。
生衛16業種といわれますが、このなかでも理容、美容、クリーニング、浴場の4業種は、生活衛生サービス業種として一括りにされることが多い隣接業種で、いづれも消費者の生活に密接している業種だけに、人々の生活の変化に左右されやすい業種です。
浴場業は、自家風呂の普及にともない急速に減少しました。これは平成の前からの流れです。むかし、どこにでもあった街のお風呂屋さんですが、すっかり見かけなくなりました。
クリーニング業は平成になって急速に減少した業種です。取次店を使った大手クリーニング会社の進出やコインランドリーの普及もありますが、自家洗濯の影響が大きいと、厚生科学審議会・生活衛生適正化分科会で、クリーニング業の代表者は話していました。クリーニング業はこのほかにも環境問題や消防法の問題など独自の課題を抱えています。平成の次の時代には、個人事業としてのクリーニング店は、いまの製氷業のような状況になってしまいそうです。
ここで注目したいのは、自宅で済ませてしまう、自家風呂、自家洗濯です。
生活衛生サービス業種の最大の競争相手は、利用者のセルフです。自宅で済ませてしまうことで、浴場業、クリーニングが衰退に追い込まれました。
理美容業も理美容店に行かないでセルフで済ませてしまう人は、女性で10%ほど、男性で5%ほどいると推定されます(年1回以下の利用者を含む)。この数値が増えることは、即業界の衰退につながります。
業の歴史を振り返っても、セルフで済ますことをやめてプロの理美容店を利用する人が増えるのに合わせて理美容店も増加しています。利用頻度とかの要素もありますが、基礎数値は利用者数です。
前述のクリーニングは洗濯機の進歩による自宅洗濯の増加が大きく影響した、といいます。理容業は、戦前はバリカンが一般家庭に普及し自宅で散髪していました。またヘアカラーは現在、ホームユースとサロンユースが拮抗していますが、自宅で簡単にできる製品が開発されればサロン需要は減少します。
平成の時代、さまざまな美容家電が開発され、多くの人、とくに若い女性が利用しています。美容店でのパーマネントが減少した理由に、手軽にカールがつくれる美容家電の普及と持続性のあるスタイリング剤の開発があります。これがパーマネント客減少の大きな理由です。
自家処理は理美容業にとっても最強の競争相手とえます。
平成の次の時代、美容家電はますます進歩するはずです。それでなくとも、人口減少の日本、理美容業界は飽和状態から、すでに過剰状態にあります。マクロ的に俯瞰すれば厳しい状況が待ち受けています。
後編【自家処理から生まれる新たな需要】に続く。
http://ribiyo-news.jp/?p=24706
タグ: ホームユース, 理美容ラウンジ, 自家処理