「タトゥー医師法裁判」で逆転無罪判決
Posted on | 11月 14, 2018 | No Comments
昨年9月大阪地裁で有罪判決を受け控訴していた「タトゥー医師法裁判」で2018年11月14日、大阪高裁は逆転無罪の判決を言い渡した。一般報道による。
医師法違反に問われたのは、彫り師の増田太輝被告。同被告は、医師免許がないのに客にタトゥー施術をしたとして15年8月に略式起訴され、罰金30万円の略式命令を受けたが拒否。タトゥー施術が医師免許を必要とする「医療行為」に当たるかを正式裁判で争ったが、大阪地裁は「医師が行うのでなければ保健衛生上の危害を生ずるおそれのある行為」とし、タトゥー施術を「医療行為」と結論づけ有罪判決を言い渡した。しかし、これに対し、被告は医師法の規制が彫り師の職業選択の自由や表現の自由、タトゥーを入れたい人の幸福追求権を侵害しており違憲などとし、控訴していた。
高裁判決は医行為について、「医師が行わなければ保健衛生上、危害を生ずるおそれのある行為」とする一審判決の基準を踏まえつつ、医師の行為を「医療や保健指導が目的の行為」と限定的に解釈。
タトゥーには伝統文化の要素、現代社会で美術的な意義やオシャレ風俗という実態があり、「医師の業務とは根本的に異なる」とし、医療行為には当たらないと判断した。
また、彫り師に医師免許を求めれば、憲法が保障する職業選択との自由との関係で疑義が生じるとも指摘した。
医師法以外に法規制がないタトゥー施術については、業界による自主規制や立法措置などの検討の必要性も指摘した。
以上の理由から、一審判決の判断は「維持しがたい」と結論づけ、無罪判決とした。
敗訴した大阪高検では「判決内容を精査した上で適切に対応する」としている。
今回の判決で、医師法による医療行為が限定的に捉えられたことで、タトゥーに限らず医療との境界線上にあるアートメイク、本格的な脱毛施術などについても可能性が出てきたが、そのためには利用者の安全を担保する自主基準などの整備が業界に求められる。
タグ: アートメイク, タトゥー, 医師法違反