タトゥーは医師法違反の判決
Posted on | 10月 3, 2017 | No Comments
大阪地方裁判所は2017年9月27日、いわゆるタトゥーは医師法違反にあたるとし、彫師の被告に罰金15万円を言い渡した。求刑は30万円だった。
一般報道による。
判決理由は、「感染症や保健衛生上などの被害が出るおそれがあるため、医師免許が必要」というもので、従来の判例を踏襲した。
大阪府内の彫師のMさんは、文字や模様を描くタトゥーを施したとして2014年に医師法違反の疑いで起訴され、罰金30万円を求刑されていた。タトゥーを施した客に健康被害は発生していない。
被告の弁護士は、「医師法に明確な規定がないのに法律を適用するのは誤りで、憲法が保障する職業選択の自由や表現の自由の侵害にあたる」として無罪を主張。これに対し裁判長は「タトゥー、入れ墨の施術は、医師免許が必要な医療行為にあたる」とした上で、被告は健康管理を行い、被害もなかったことから、求刑の30万円を15万円に減額する判決を下した。
被告は、この判決に納得できない、としている。
新たな法規制が必要
今回は、若者の間で世界的に流行している文字や文様を描くタトゥー施術に対する判決だったが、これ以外にも眉毛に施術するアートメイクといわれる入れ墨行為、さらにはエスティシャンらによる脱毛行為も医師法違反で禁止されている。
しかし、医師法にはこれらの施術行為に対して明確な規程はなく、平成13年発出の医政局医事課長通知「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」に基づき判決されたようだ。
諸外国では、これらの施術行為に対し、医療行為は別の法規制を設け、資格制度を整えている国が多い。現実問題として、医師免許を持つ医師がタトゥー技術、あるいは脱毛技術があるのかというと無理があるのは明白で、これらの行為を医師法で一括りにするのは実態にそぐわない。
彫師の団体では、今回の判決を受けて、「米国など外国のように安全基準を定めて、たとえば許可制にするなど、新たな法律を整備すべきだ」とし、国会議員に陳情を行うなど活動を進める、という。
脱毛施術は現在、美容ライト脱毛という名称でグレーゾーンの領域での施術が行われているが、今回の判決を機に、彫師らの団体と協調して、平成13年通知を見直し、新たな制度をつくりことを求める行動が必要かもしれない。
タグ: アートメイク, タトゥー, 脱毛