労働時間の特例措置 廃止の方向で検討
Posted on | 11月 14, 2024 | No Comments
厚生労働省の第14回労働基準関係法制研究会が2024年11月12日に開催されたが、その資料(議論のたたき台)に理美容職種などを対象にした「法定労働時間週44時間の特例措置」について、撤廃に向けた検討が盛り込まれた。
特例措置は、1週間40時間の労働時間を特例として44時間を認める措置で、10人未満の労働者を使用している事業所のうち、理美容業など指定された業種(*)が対象になっている。
同研究会の調査で、特例制度を多く活用している業種は理美容業のみで、対象事業所の8割はこの制度を活用していないのがわかった。このような状況から、同研究会は特例措置の役割は終えている、と判断している。
ただ特例措置が廃止された場合、理美容業の86.7%は支障は支障があると懸念している。
他の対象業種は、人手不足を解消するには、特例措置を活用していては従業者を募集できないために、特例を活用していない一面がある。理美容業の場合は小規模零細企業が圧倒的に多く、しかも国家資格所有者を募集するという業界独自の閉そく性が背景にある。
同研究会で、特例措置の廃止と結論づけてもすぐに廃止されるわけではないが、理美容業だけが特例措置に依存する特別の業界であり続けては将来、有能な人材を集めにくくなる。
労働基準関係法制研究会(議論のたたき台)より
Ⅴ 労働時間法制の具体的課題について
(4)法定労働時間週44時間の特例措置
・法定労働時間を週44時間とする特例措置対象事業場について、8割の事業場がこの特例措置を使っていない現状に鑑みると、概ねその役割を終えており、業種による状況の違いを踏まえつつ、特例措置の撤廃に向けた検討に取り組むべきと考えられる。
(*)<特例措置の対象事業所>
商業:卸売業、小売業、不動産業、理容・美容業、出版業(印刷部門を除く)等
映画・演劇業 :映画の映写、演劇、その他興業の事業(映画の製作の事業を除く)
保健衛生業 :病院、医院、診療所、保育所、児童養護施設、児童福祉施設、老人福祉施設等
接客娯楽業 :旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業
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